奥多摩縦走

昨日の日記で「ワンウェイ方式」は苦手と書いたばかりなのに、思いっきりワンウェイ、奥多摩を縦走してきました。エスケープ・ルートを知らないから、歩き出したら最後まで行くしかない。標準歩行時間は6時間ちょっとというコース。
スタートは先週と同じ、奥多摩駅ホリデー快速の到着時間も先週と同じ9時15分)。今回は、「奥多摩ハイキングフリーきっぷ」を購入したので(こうやって学んでいくのです)、安い! でも、クリスマスということで同行者なし、僕ひとりです。
コースは、奥多摩駅からそのまま歩き出して、鋸山、大岳山、御岳山を縦走するというものです。登山客、少ねー。大岳山までの最初の2時間で会った登山客は10人ぐらいだったかも。
鋸山(標高1109メートル)までは風が冷たく、登り坂もかなりきつかったです。道が凍っているということはないけど霜はそこら中にあります。鋸山から大岳山(標高1265メートル)までは陽のあたる尾根道で、富士山や奥多摩の山々が見え、気持ちいい。
大岳山山頂でお弁当を食べました。トレランのグループや、登山客で20人ぐらい。どうも、僕と逆ルート、御岳山から登ってくる人のほうが多いみたい。ここでようやく、道迷い遭難の不安がなくなりました。紛れそうな分岐も、先を見失いそうなトレイルもなかったのだけど、それまでほんとに人影を見なかったから。
僕が使ってるトレランシューズだと、岩の上を歩くにはソールが柔らかすぎるかも。滑ったり足を踏み外してこの崖を落ちたら(きっと怪我する)、登ってくるのは大変だなあなんて思う岩場もいくつかありました。あいかわらずiPhoneは山の中では圏外だし。
こんなときにいつも思い出すのは、スティーヴン・キングの小説『トム・ゴードンに恋した少女』。9歳の少女がトレイルから外れて森の中でさまよう数日間を描いたこの小説は、示唆に満ちてます。世界はすぐに牙をむいて襲いかかってくるもの。危機的で異常な(スティーヴン・キング的)状況でも、「そう簡単に噛み付かせないからね」という彼女の言葉、不屈の戦いはすごい。
もし何かあった場合にと、僕は今回、軽量のダウンジャケットと、エマージェンシー・シート的なもの、レインウェアの下、ヘッドランプなどは用意してきました。でも、誰もいない山道を歩いてるときには、さっき書いたみたいな滑落とか道迷いで遭難してしまって、この山の中で夜を過ごすはめになったら、こりゃ無理だろうなと思っていました。いい歳してても、簡単に噛みつかれる。
僕の装備は、ランニング用の速乾性の長袖Tシャツ、フリース、それとアウターのジャケット。ネックマフラーとニット帽、手袋。下はヒートテックのタイツと、コロンビアの年季の入ったパンツ(取れて無くなっていたボタンを前夜縫い付けた)、靴下、トレランシューズという格好でした。リュックは、たぶん20リットルのデイパック。水筒やお弁当、予備の食料、前述の緊急時用の服が入ってる。
オムニテック素材のジャケットは、風を通さず、汗でむれることもなく、いいかも。ただ、運動強度が高いときは内側にフリースを着ないでも暖かいけど、一旦、休憩すると薄着なので寒い。そのときはすぐさまフリースを着込む。ネックマフラーと帽子、手袋は必携でした。手袋は風を通さないタイプじゃないと今後厳しそうです。ヒートテックのタイツは、暖かいけれど登山の足の動きにスムーズかといえばそうでもないけど、サポートタイツ(CWXとかの)を買うお金もないので、これで我慢。
すれ違うトレイルランナーに感心するのは、その軽装備なこと。ルートを熟知していて、自分に自信がないとあの格好では走れないなあ(大会のように、サポートがある場合は別だけど)。
大岳山から御岳山へは下りが続くし、御岳山の山頂付近は先週行ったものだから気が楽です。すれ違う人たちもいるし。名前から気になっていた「ロックガーデン」は、ボルダリングの聖地みたいなところかと思っていたけど、渓流と岩の遊歩道でした。人がいなくて独占状態。滝と巨岩と渓流、苔むした岩や倒木。さっきまでの山道と全然違う光景。
長尾平に、長尾茶屋というお茶屋さんが出ていました。コーヒーをいれてもらい(300円)、ご主人とお話する。僕は人見知り、ひきこもり(アウトドアな)だけど、山に来たときと、ポメラニアンの飼い主だけには、フレンドリーになります。この茶屋は、「ハセツネ」の第三チェックポイント(60キロ地点)になっているそうです。いつか出たいんですよねー、でも70キロなんて僕には全然無理です(ハセツネは全長71.5キロの山岳耐久レース)、まずは32Kからと考えてるんですけどそれにも経験も体力も足りなくて、なんて話しを。茶屋を去り際に、ご主人に「ハセツネで待ってますね」と言われてしまいました。いつか出たいです。
このあと、ゴールの御岳山山頂には向かわず、予定を変更してケーブルカーではなく徒歩で下山することにしました。つづら折りの一車線の舗道を40分ぐらい歩いて、バス停に到着。ちょうどバスが来ていたので、そのまま乗車して、今日の縦走は終了。約5時間30分の行程でした。クリスマスなのにWham!を一回も聴かなかった!