本当はクリスマスケーキを作ろうと思ったのだ

クリスマスケーキを作ろうと思ったのだ。
ケーキやお菓子作りの経験なし。料理はするけど、計量カップとか泡立て器とかベーキングパウダーという方面には、これまで縁の遠い食生活をしてきました。でも先日、新宿に出かけたときに、自分でクッキーを焼いて、童話に出てくるようなお菓子の家を組み立てるというセットが売られてるのを見て、「やってみよう!」と思ったのです。柄にもなく。
レシピに沿って作れば簡単にできる、ということでしたが、「はじめる前に」という作業がいくつかありました。卵を泡立てたり(これは楽しい)、型紙をはさみで家やドアや窓やもみの木の形に切り抜いていく。ここですでにめげる。いや、こういう作業が必要で、これがまさに土台となることはわかります(しかし、飽き性で雑な僕には向いてない)。でも、次のバター80グラムを電子レンジで温めるという指令で、道を踏み外してしまった。まだはじまってもいないのに。
初めて、計りを使った。まず80グラムのバターの塊の大きさにびっくりしてしまった。正直にいうと、こんな量のバターを入れることに戸惑った。で、電子レンジで溶かしたその「全量」を、僕はココアパウダーと混ぜてしまった。間違いにはすぐ気がついた。ほんとはその量の中から大さじ一杯分でよかったのだ。バターまみれのココアパウダー。とりかえしのつかない甘くバターの香りが強烈に漂ってくる。しばし呆然。もう全部、捨てちゃって無かったことにしてしまいたい、という気持ちさえあった。でもそれはさすがにもったいない。ココアは忘れることにして、もういちど新たにバターを温め(巨大な80グラムという塊)、それをクッキーミックス、牛乳(「はじめる前に」室温に戻しておいた)、卵を混ぜてかきまぜ、こねる。おー、これぞクッキー作りの工程!
さっきのバター入れすぎのココアは、少しだけこのクッキー本体の生地に味付けとして混ぜることに、自分を納得させた(こういう変わり身の速さは僕の特技だ)。つまり、ココア色の屋根や庭の柵もドアノブもなし! クッキーで家を作ること自体をやめにしたのだ。初めてなんだもん、クッキーが焼ければ充分じゃん。
ところで、砂糖。レシピを見ると、150グラムとある。計りの上に砂糖を足していったのだけど、その半分の70グラムで僕的には限界だった(写真の上の砂糖が77グラム)。この2倍もの砂糖が入るなんて信じられない! 根拠ないんです。全体の量からすれば砂糖も、さっきのバターもそのぐらい必要なんですというのは、正解のレシピなんでしょう。でも、むり。大根の煮物とかの、「砂糖大さじ一杯を入れる」というレシピにさえも、小さじ一杯と反抗する僕には、150グラムなんて致死量に思えた。だから、半分でいい。もう全然、レシピにそってない。
こねた生地を麺棒でのばし(こねる作業とのばす作業は楽しい)、ラップし、冷凍庫で30分間、冷やす。そして包丁で無骨な形に切り分け(メルヘンな型抜きがうちにはない)、オーブンで焼いた。
初めてのクッキーができた。クリスマス用デコレーションのお菓子の家はできなかったけど。味見をしてみる。ココア味がいい感じ。砂糖はまだ甘いと思うし、バターっぽさはきついけど、美味しかったです。
夕飯には、同じ店で買ったタイ風グリーンカレーのセットでカレーを作ります。久しぶり。僕はここの会社のカレーセットはずっと使っていたのです。でも、この会社がイスラエルに出店するという計画を聞き、それからは足が遠のいていました。なんかそこで買い物をすることに抵抗があった。でも先日、その出店計画を取りやめたというニュースを知り、それで喜び勇んでいろいろ買い込んだのです(クッキーを焼いてお菓子の家作ろうなんて思うぐらいの喜び)。面倒な逡巡なく、またここで買い物できるのがうれしい。ありがとう。
では、これから、とびきり辛く美味しいグリーンカレーを作ります!