奥多摩の一日

奥多摩日原鍾乳洞に行ってきました。行こうと決めたのは前夜9時頃。こんな急な誘いに乗ってくれたのは、荒川さんといとうさん。
朝目覚めたのは7時。電車は7時49分発なので、慌てておにぎりを作り、ホリデー快速奥多摩行きに乗りました。車両は登山客ばかりの登山列車。そのなかで僕らはいちばんライトな行程なんだろうな。前夜、観光サイトをちらっと見ただけなので、周辺の状況がほとんどわからない。
9時過ぎに終点、奥多摩駅に電車が到着すると、登山客はそれぞれの行き先を表示したバスに乗り、散っていく。日原鍾乳洞に向かうバスに乗り込んだのは約10人。ハードな登山スタイルのグループは、途中の川乗橋というバス停で降りた(川苔山という人気の山があるらしい)。奥多摩の山道を行くバスの車窓から、素晴らしく美しい流れの沢が見下ろせる。「不老」だとか「神庭沢」など、バス停の名前も魅力的だ。
終点で降りて、日原鍾乳洞までの2キロの道を歩き出したのは僕ら3人だけだった。
僕の洞窟好きは、『トム・ソーヤの冒険』の中のトムとベッキーが迷い込んだあの洞窟での冒険譚に心震わせたからだろうなあ。
18歳のとき、アメリカを旅行中、ニューメキシコ州にあるカールスバッド洞窟群国立公園というところにも行ったことがある。圧倒的な規模だった。違う宇宙が地下にあった。でも、それ以上に印象に残ってるのは、エルパソ市からそこまでの道中の景色(まさにアメリカ西部!)、そして、バス停に降りたのが僕ひとりで、洞窟を見学した後、バスが来るまでの3時間をWhite Cityという洞窟最寄りの小さな小さな街(というよりストリート)のダイナーで、またもやひとりで待ったこと。あのときの孤独っぷりときたら!
東京洞窟厳選100――穴があったら入りたい! 「地底の別世界」 日原鍾乳洞のことは、最近読んだ『東京洞窟100』という本で知った。関東の洞窟を、ものすごい取材量(絶対もとがとれない!)で紹介したガイドブック。軽妙な語り口と半端なく濃い情報に満ちてるけど、以下は、その中で印象に残ってるまじめな言葉のメモ。〈洞窟は、空ろなのに圧倒的な存在感がある。闇という見えないものの存在感だ。それを形づくるのが洞口のデザイン。洞口は闇に形を与える。なによりもまず、洞口こそが洞窟だ。〉
しかし、残念なことに日原鍾乳洞のそれは、あまり闇に形を与えてるとは言えない。下記の写真参照。
心の中にあるトム・ソーヤの洞窟、実際に観た世界遺産カールスバッドに比べてしまえば、日原鍾乳洞が「関東一」だろうが、「まあ、こんなものだろうなあ」という印象でした(好きな人には申し訳ない!)。でもこれは比べる対象が悪いのだ。あ、あと、外気は3度だったけど、洞窟内部は10度で、歩き回ると暑いぐらいでした。
さて、ひとまわり洞窟を観てしまえば(僕らの他には、自転車で登ってきた青年ひとりしかいなかった)、どこか違うところに行こう。午後になればバスは2時間に1本しかない。急いでバス停まで戻り、奥多摩駅から電車に乗り、さっきたくさんの登山客が降りた御嶽駅に行く。いきあたりばったり。遠く奥多摩まで来て、鍾乳洞を観るだけだったらもったいないからね。
御岳山に登るケーブルカーの始発駅まで、またバスに乗らなければ行けないらしい。歩くと1時間。バスが出るまであと30分。頂上で昼食をとるのはあきらめて、バス待ちの間、標識にあった沢に降りることにした。これが大正解! 川ではカヤックを楽しむ人たち、河原の巨大な岩にはりついてボルダリングにトライしている人たちが大勢いた。山歩きとまた別の次元で、奥多摩を楽しめるんだなーと、どちらも未経験の遊びに興味を抱きつつ、僕らも大きな岩の上でお弁当を食べる。
バス→ケーブルカー、徒歩で山頂の御岳神社へ。
いま、『東京都の山』というガイドブックで、御岳山をチェックしたら、〈ケーブルカーで往復するだけでは、御岳山のよさはわからない。〉と思いっきり書かれてたけど、情報収集が足りなく、時間も遅かったので今日のところはしょうがないのです。御岳山の山頂付近は、参道にお土産屋と民家(民宿、宿屋)が並ぶ、江ノ島のような感じでした。
川苔山も、御岳山からのハイキングも、今後の宿題。帰りもまたホリデー快速の時間にあわせるために、沢に出て、カヤックボルダリングを眺めました。奥多摩初体験の今日は、意外にもほとんどトレイルを歩きませんでした。
洞窟を舞台にした映画(ホラー)といえば、これ。