「文化人類学解放講座」

「文化人類学解放講座」に行ってきました。
今回は、ぐっと最近のこと、身近なこと。21世紀、日本でのデモが紹介されました。まずは、2003年、イラク戦争に反対するサウンドデモ。僕がデモに生まれて初めて参加したのも、このイラク戦争への抗議デモでした。当時、ミュージシャンたちがどんなふうにこの戦争に抗議していたのか、こんなふうに仲間とまとめたり、ラジオ番組をつくっていました。
文化人類学解放講座」で映像を見せてもらったサウンドデモにはその頃の僕は残念ながら出会ってなかった。
サウンドデモはそれまでのデモの、弱々しい印象を覆した。2005年の渋谷メーデー。大勢の人間が(見物人さえも)関われ、祝祭性があって、賛否両論をさえ巻き起こすパワーがあった。非暴力であり、暴力を使わずとも表現によって世界を変える方法があるということを見せる。
このデモで、ビースティーボーイズの「Fight for your right」が流れてたのは、すごい偶然。僕が病院の前で心の中で鳴らすいつもの曲。渋谷の映像にわくわくする。僕らの住む世界にはデモに出る理由がある。
ただし、サウンドデモにも欠点があった。社会運動はひとりひとりが主体的に動くことが必要だけど、サウンドデモはひとりのDJがチョイスする音楽で動かされる。そこからさらに一歩進み、反撃の音は自分たちで打ち鳴らして踊るという方法が出てくる。1999年のシアトルの乱でも登場したドラムブロックの日本版。その後も、反撃の新たな表現は次々に生まれている。映像が記録され、youtubeなどによって公開されることによって、現在の社会運動は互いに情報を交換しながら発展していってるからだ。
インターネットをつかって、マスメディアでは流れない、テレビでは見られないことが、「インディィメディア」という独立したメディアによって、世界に伝えられるようになった。
2007年、ドイツのロストックでの反G8行動ではクラウンアーミーが登場する。2008年は北海道の洞爺湖でG8サミットが開かれることに決まっていた(シアトル以来、G8はデモなどによる抗議行動を恐れて都市から離れたところで開催されるようになっている)。日本のアクティヴィストたちはまず、海外のアクティヴィストに向けての、洞爺湖G8サミット反対行動のプロモーション映像をつくり、日本向けには、海外の情報をレクチャーするインフォツアーを行なった。
そして2008年7月、洞爺湖G8に反対するパレードの最中、4人が不当逮捕される。なぜ不当なのかも、映像が証言し、また解放後は映像で反撃する。
「世界がどんなに暗くても絶望しなくてすむのは、世界を変えようとしている人たちの存在を知ってるから。みなさんが知ってる世界と、もうひとつの世界がある。知ることはとても大切で、知れば自分でできる方法をやってみたくなる。つかいきれないぐらいのアイデアがあるので絶望しているヒマはない」というような言葉を聞く。
この「反撃がはじまった」シリーズの講義と、「ヨコハマ国際映像祭」での「いるといらとそのなかまたち」展示で、ゼロ年代の反撃がばっちりわかった。