「文化人類学解放講座」

「文化人類学解放講座」に行ってきました。
11月7日の続きの授業。「続・反撃が始まった」と題された90分間の講義でした。
観せてもらった映像は、1999年、マクドナルドのフランス進出に反対行動をした農民たち(これは当時のニュースを記憶してた)、2001年12月のアルゼンチン革命(これも覚えてる。その数年後、僕はアルゼンチンの友人ができたし)。IMF多国籍企業が引き起こした金融危機、銀行の破綻に対して、100万人もの民衆が路上に出てきて、抗議行動をしたというもの。
革命は、中世までのものではないということを改めて知る。学校の歴史の授業は、古代から始まって第二次世界大戦あたりで終わってしまい、「現代」を教わることがない。だから僕も、反撃なんて始まってないと思ってた。ところが、1999年のシアトルの乱(『バトル・イン・シアトル』というタイトルで映画化され、日本でもDVD(日本語字幕も付いてます)で見ることができる)や、先日の授業で観たボリビアなど、反撃は世界のあちこちで起こっている。
それを知ることが、大切ということ。「世界は変わらない」という思い込みが、人々をうつにする現代社会。「明日も昨日と変わらない」のではなく、「もうひとつの世界は可能」であり、世界のあちこちで反撃は起こっていて、その人たちの存在を知っていれば絶望はしない。だから、知ることは大事で、知れば、自分でできる方法でやってみたくなる。アクティヴィストとは日本語では「活動家」と訳されるが(漢字にしたそれは、ちょっときな臭いイメージがついてる)、ただ「アクティヴ」な人というだけ。反撃は始まってるし、いつでも誰でも始められる。
1999年、シアトルでのWTO開催に対して反対のために集まったアクティヴィストたちのそれぞれの行動を、イルコモンズさん編集の映像を観ながら学ぶ。
bloc」という、主義主張の違う人たちわけるシステムがシアトルでの抗議運動には導入されている。
環境、人権、子どもの権利、女性の社会的地位、労働問題などさまざまな観点からWTOに反対するグループがいる。それが、「bloc」に分かれることによってお互いの違いには干渉せずに、WTOに抗議するという一点において連帯する。
bloc」は色分けされて呼ばれている。「ブラックブロック」はアナキスト、「シルバーブロック」は音楽、ドラムなど。警察とデモ隊との緊張関係が高まっている間に登場して、そのシリアスな空気をほぐす。「グリーンブロック」は環境、エコロジスト。「レッドブロック」は共産主義者。「イエローブロック」は特定の主義、主張を持たない人たち。「ピンクブロック」はゲイ、レズビアンたち。
彼らに共通しているのは、「非暴力」というルールだそうだ(非暴力直接行動のルーツとして、ガンジーの映像も観た)。授業では「ブラックブロック」がNIKEスターバックスの店舗を破壊する映像も紹介し、非暴力であるはずの「ブラックブロック」がなぜ多国籍企業に対してだけは破壊行動をするのかを、彼らの証言で説明する。
シアトルでは、「ラディカル・パペット」も登場する。
「パペットがあらわしているのは、私たちが手にしたいと望んでいるすてきな未来と、世界銀行IMFがおしつけてくる巨大な抑圧の力なんです」「そう、誰かさんたちは、私たちのパペットをすごく怖がってるの。それは当然よね、だってパペットがあらわしてるのは、人びとの結集と平和、歓喜と連帯なんですもの。これほどたくさんの人が集まって抗議するのは、ただごとじゃないと気づくみたいね。だからパペットを怖がるのも当然ね」(アントニオ・ジュハズ)
1999年のこの『バトル・イン・シアトル』以降、反撃の光景は変わる。祝祭的である、ということ。誰もが参加しやすく、続けていくためには、想像力がふくらんでいく、楽しいものにしなくてはいけない。