去年の12月28日、高尾山の「望年会」の話を今頃書く

昨年11月のドリームキャッチャーバリケード作りや、12月1日に坂田昌子さんのガイドで登ったことで、僕にとって超身近な存在になった東京の名所、高尾山。この高尾山の自然をトンネル工事から守ろうとしている環境NGO「ケンジュウノカイ」の「望年会」が、国分寺カフェスローであるということで、昨年12月28日に行ったのです。ガザ空爆とか派遣村のこととかいろいろあって日記にするの遅くなったけど。
11月頭の代々木公園でのドリームキャッチャー作りのときからそう感じてたけど、高尾山の人たちはオープンマインドなので、人見知りがちな僕でもひとりでこういう場に行っても全然、緊張しない。会場のカフェスローも天井が高く仕切のない、気持ちいいスペースだった。それに、ゆるいのだ! ステージを一段高くして、そこにコタツをセットして、ケンジュウノカイ代表の坂田さん他が座り、「和居和居デッキ」状況なトークがあり、ライヴはその横で行なわれ、その後ろでライヴペインティングが進行中。
カフェスローで驚いたのは、ステージの面積よりもキッチンの方が広いこと。残念ながら僕はお腹いっぱいだったから他の人の食べてるのを見ただけだけど、たぶん都内のライヴハウスの中でいちばん料理が美味しそう。そういうのはキッチンを見ただけでわかるのだ。
マエキタミヤコさんにいろんな人を紹介してもらった。マエキタさんは着眼点がユニーク。「みずのやま、高尾」というコピー。トンネルに注入される「セメントミルク」の環境への影響をすぐに知りたい、等々。あと、マエキタさんが推薦してくれた日本酒、「醍醐のしずく」もしっかりと美味しかった。ライヴも気持ちよかった。高尾山ハイキングのときにヴィオラを弾いてくれた女性(名前失念!)の演奏も聴けた。
イベントの最後、ドラムサークル初体験! 会場に残っていた50人ぐらいが大きな環を作り、それぞれにいろんな楽器が渡されていく。ドラムサークルといっても今日は夜なので音量を考えて、シェイカー、マラカス的な振る楽器中心(昼間は早稲田大学でホントの打楽器系、ドラムサークルをやってきたそうだ)。その楽器が、多種多様。僕が受け取ったのは片手で持てる正方形で木製のシェイカーのようなもので、隣の女性が担当したのはインドの楽器だそうで小さなシンバルがソロバンのような木枠に上下2セット付いてる。ブラジル系の打楽器なら仕事柄たくさん見てたはずの僕にも名前がわからないのが多い。その50人の中の2割ぐらいの人に、「トーンチャイム」というメトロノームのような打楽器が渡された。
最初はファシリテーター(指揮者)の佐々木さんの指示で全員が同じリズムを奏でる。次に佐々木さんの合図で、シンバル系の人は休み。次にトーンチャイムがビートの中にアクセントを入れることが指示される。そこまでで数分。でもこれがもう楽しい! 当然、みんなファシリテーターの方を見ている。で、ここでその佐々木さんが「こちらを見るのをやめて、それぞれの音を聴くように」という指示を出した。多種多様な楽器があるから、音色も多種多様。それは「高尾山の生態系も同じ」という話につながる。
「いつものドラムサークルだと、音の大きな太鼓が他の小さな楽器の音を圧倒してしまうけど、大きな太鼓が偉いわけではない。小さな楽器の音もあってこのようなサークルが生まれる」というような話がある。実際に、僕もその中で実演しながらだから、まさに実感できる。「合図と同時に環の右隣の人と楽器を交換して」という課題が出される。うわっ! 僕に例のインドの楽器がまわってくる。シャカシャカとした小さな音を耳に近づけて確かめる。最後は「自分たちだけで、リズムをゆっくりにしていって、最終的には1分間に2拍まで落として」という難問。指揮者なしで50人のリズムがだんだんとスローになっていく。そこにある音すべてを聴くしかない状態。面白かった! いつもやってるという打楽器系のドラムサークルというのもやってみたい!
この日も坂田さんが話していた「うかつ主義」は、イルコモンズさんが書いた「素人の使命」に通じる。
〈 どんなに政治が複雑だとしても、何の罪もない人びとや子どもたちが空爆で殺されているという、その事実が、いま・そこにある限り、反対する理由としては、もうそれだけで十分である。どんなに政治に疎くても、人間に疎くなければ、反対するに十分な理由で、背景がどんなに複雑であっても、人間として、素朴に、かつ、単純に、いま・そこにある事実に対して反対する。それだけなく、複雑な背景を理解するがゆえに慎重にならざるを得ない専門家や研究者たちの分まで、代わって反対したいと思う。素人として、素人が、素人の分際で、素人のくせして、だが、素人だからこそ、素人でなければできないことを、断固、素人として、素人らしく、素(す)の人間の立場から反対する。それが素人の強みであり、素人の使命だと思う。まちがった時には専門家が正してくれる。それを聞き入れる用意さえあれば、なにも躊躇することはない。「素人よ一歩前に、知識は後からついてこい」である。空爆が続く限り、今日も明日も明後日も、イスラエル空爆に反対する。当然、地上侵攻にも猛反対する〉(一部を抜粋)
「もう工事も始まってしまったししょうがない」とか「国が決めたことだからいまさら反対しても」なんて思わずに、素人なりに「トンネルはいらない、もっといい道がある」と言ってしまおう。知識は後から坂田さんが教えてくれる、たぶん。