NIKEにやかましくなる

tuktukcafe062008-09-01

昨日、NIKE主催「THE HUMAN RACE 10K バーチャルレース」に参加してきました。
「バーチャル」とレースタイトルに付いているのは、本家が、本栖湖での「THE HUMAN RACE 10K」だからだと思います。
〈世界と競争だ。2008年8月31日、世界25都市で史上空前のレースが起きる。日本での決戦の場、富士山・本栖湖でこれまでにない10キロレースで、100万人のランナーと走ろう。このレースは人類の可能性への挑戦。世界といっしょに走った一日を、キミは一生誇りに思うだろう。JUST DO IT.〉という、その勇ましいコピーに、そりゃ心揺さぶられましたし、完走者限定で木村カエラや、サンボマスターらのライヴを観ることができるという「RUN & ROCK」な特典も面白い。でも、長距離走にはオフシーズンの夏(走るには暑すぎる)に、本栖湖まで行って走るのは大変だなーと思って諦めていたのです。
ところが、8月28日、僕が登録している「ランナーズ」という長距離走レース情報のメーリングリストから、代々木公園でも、〈本栖湖に行けなくても、Nike+があれば、「THE HUMAN RACE 10K」チャレンジに参加できます!〉という案内が届き、参加費は無料だし、その「Nike+」というのはよくわからなかったのですが、数に限りはあるけど「Nike+」貸し出しもあるというし、別にそんなのなくても走れるだろうと、いままでのレース経験から何の心配もなく、会場の代々木公園陸上競技場(オダ・グラウンド)に向かったのです。
この日は、10時30分、12時55分、15時25分と3回レースが行なわれるそうで、僕は気温的にいちばん走りやすそうな朝の第一回出場のために、受け付け「9:00〜9:45」というサイトのインフォメーションを見て、9時5分には会場に到着し、すぐに受付の列に並びました。
Nike+」を持っていない男性の列に僕の前に並んでいたのは50人ぐらい。ところが30分ぐらい経っても、3人分ぐらいしか前に進まない。列に並んですぐの時点で、「Nike+の貸し出し数はもうありません」とスタッフが言ってたけど(それがどういうものかもよくわかりません)、とにかく受付に時間がかかりすぎです。 Macで各自、メールアドレスとパスワード、名前、性別、居住都道府県を入力すると、番号付き(ゼッケン代わり)のNIKE Tシャツを受け取れる、というだけの作業なのに(いまサイトをチェックしたらこういう手順。これだけなら、事前にweb受付ができるようにしておけばいいのにと思った)、スタッフのアナウンス、誘導、入力のインストラクション、すべてお粗末で、列は短くはならず、後ろに伸びるばかり。
僕の少し後ろに並んでた男性はスタッフに状況改善を訴えに行ったら、「『おまえ』呼ばわりされた」、と憤慨してました。
9時30分ぐらいの時点で、いま並んでる方は登録して走ることはできても計測されません、第二回にご参加ください、というようなアナウンスがある。第二回って3時間以上後のスタートなんですけど。受付開始から5分後に並んでるのに。
「どうなってんだよ」とか「もう走るのやめよう」とか「NIKEのブランドイメージ、マイナスだぞ」という声があちこちから飛ぶ。「計測されないなら(参加に必要な)Tシャツだけ配ってください。それを着て走るだけ走りますから」という人も何人かいたけど、スタッフは「すみません、登録されていない方にはTシャツをお渡しできません」の繰り返しのみ。状況を見て判断できる人いないの? 受付時間内に並んでいて走れない人がたくさんいる(たぶん走れた人以上に)というのは、どういうことなの?
結局、僕が受け付け入力をしてTシャツを受け取った(LかXLしか残ってなかった)のはスタート時間の10時30分。ああ、この赤いTシャツを着て、〈代々木公園を赤く染めて走りましょう!〉というためだけに、1時間30分近く並んでたのかと、レース前の気持ちの状態としては最悪。ずっと列に並んでたからトイレにも行けず、ストレッチや準備運動もできず、でも仕方ないからトラック端ですぐ着替え、NIKEのレースとはどんなもんかと記録に来たはーぴーからお手製のゼッケンと缶バッジを受け取り、背中と胸に付けて、荷物を預かってもらい、とにかく走り出す。
バッジとゼッケンははーぴー制作。
トラックを出る前に最後尾にはなんとか追いつき、僕より後に受け付けの列に並んでいた人たちはどうしたんだろうと考える余地もなく、なんとかスタートの遅れを挽回するために飛ばす。飛ばしたいんだけど、陸上競技場を出て参宮橋→表参道方面に向かうコーナーあたりの道って2人しか横に並べない道幅で、追い越しできないからどうにもなんない。で、そのまんまの位置で陸橋を渡って代々木公園内へ。
コースの説明もなんも聞いてなかったし、腕時計のストップウォッチ機能を押すのもスタート時のどさくさで忘れていたので、勘でペースを作るしかない。でも、公園内に入ると道に余裕ができたので無理して飛ばしてしまう。
どうやらこのまま公園内を周回するらしいというのはわかったんだけど、コースにスタッフがほとんどいない。特に、分岐点など居てほしいところにいない。「OFFICIAL」という腕章を付けたフォトグラファーは絶妙に配置されているのに。
何周すればいいのか知らないし、距離表示がない。給水ポイントもない(僕が参加したレースでは初めて!)。きっと代々木公園内の水飲み場で自由にどうぞということだろう。公園はみんなに開かれてるものだからね。でも、10キロとはいえ、レース中にコースを外れて公園の蛇口に並びたくはないよ。一回、立ち止まったらペース崩れるもん。
この、コース内のスタッフの少なさ、距離表示のなさが、周回遅れの人が出る頃には重要な問題となるわけです。周回遅れじゃなさそうな、僕とスピードが同じぐらいの人について廻るしかない。でも、その人があの受付のせいで僕よりも遅くスタートした不幸な周回遅れのランナーじゃないという保証はないわけで、疑心暗鬼の走り。
公園から陸上競技場へ戻る分岐点にも、スタッフはいないのです。だからさらに周回を続ける人と、競技場に戻る人と分かれていくわけだけど、僕は周回遅れにはなってないという勘をもとに競技場への道を選択。さらに、競技場に入る場所にも誘導がない。僕の前を走ってた人は入り口を通りすぎてしまって、僕が声をかけて呼び戻した。「これじゃあ、わかんないっすよねー」なんて言いながらトラックを走って、ゴール。
タイム、計測なし。
僕の数少ないレース参加史上、もっとも達成感のないゴールでした。右上の写真は、レース完走直後のとぼとぼとした僕がNIKEの壁にもたれかかって嘆いてるところ(撮影はすべてはーぴー)。
今回の「THE HUMAN RACE 10K バーチャルレース」は、参加無料とはいえ(だから、何も言う立場じゃないよなーという気持ちもありますが)、走る側としては一度スタートしたらあとは全力で走るだけ(JUST DO IT.)で、それが走る前の登録時の混乱、走り出してからはコースの誘導係がいないなどというのは、スポーツ・ギアの大企業、NIKE主催のレースとしてはちょっとお粗末だと思いました。アスリート側の視点を想像してなくない?
もう少しだけ、やかましくなります。ちなみに「やかましい」というのは、太田農林水産大臣や麻生太郎自民党幹事長の定義による「詳しい」という意味ですから。
鶴見済さんの「宮下公園のナイキ公園化に当然反対する」
http://tsurumitext.seesaa.net/article/105179756.html
「みんなの宮下公園をナイキ公園化計画から守る会」
http://minnanokouenn.blogspot.com/2008/07/blog-post_14.html
イルコモンズさんの「何かをしてくれるというのなら、ただ何もしないでいられる場所を」
http://illcomm.exblog.jp/8495736/
イルコモンズさんの「もし、ナイキに広場を乗っ盗られたら...」
http://illcomm.exblog.jp/8496053/
イルコモンズさんの「That Ain't Right(まともじゃない)企業、その名はナイキ」
http://illcomm.exblog.jp/8496084/
※「246表現者会議」の人が作ったというウナギロゴで「JUST DOITE?」(とにかく、どいて)というバナーを、僕がヒマにまかせて手描きで作ったので、会場出る際に記念撮影。
※ゼッケンと缶バッジを作ってくれ、写真を撮ってくれた、はーぴーのレポートはこちら