映画『いま ここにある風景』を観てきました

映画『いま ここにある風景』の試写会に行ってきました。
本作は、「人間が造り替えた巨大な風景」(Manufactured Landscapes)を撮影することをライフワークにしたカナダ人フォトグラファー、エドワード・バーティンスキーを主軸にしたドキュメンタリー映画
中国の巨大工場、リサイクルのために世界中から集められた電子機器のゴミ、巨大ダム、石炭採掘場。バングラデシュのタンカーが解体されている浜辺などの風景が映し出されていく。
その巨大な「自然の解体」に、観る者は沈黙を強いられることになる。もうだめじゃんって。
自分の身の回りにあるアイテムの原料がどこからどうやって採られ、作られ、運ばれたか想像しよう。想像すれば、違った未来が創造されるはず。なんてきれいなことは言えない。エコバッグ持ちましょうレベルじゃ絶対にこの流れは変えられない。自動販売機すべてをバールで叩き壊しても大差なし。ライフ・スタイルの完全な変革、「持続可能な循環型社会」へのシフト・チェンジが必要なんだろうけど、この美しい、絶望的な風景を観ちゃうと、……うーむ。でも、観たほうがいいです。お勧めします。
映画の最後に流れるエドワード・バーティンスキーの言葉を引用します。
〈僕たちはこの星の自然を変え、空気を変え、水を変え、大地を変え続けている。中国だけじゃない、世界中で。僕は自分の仕事を、もっと政治家すべきだと考えたこともあった。しかし声高に訴えれば、人々の反応は単に賛成や反対をするだけだろう。だから言葉ではなく、ただ写真を見せる。そうすることで、見えなかった何か、違う世界を見せられると思うから。人間は今、居心地の悪い場所に座っている。一度、手に入れたものを手放すことができず、しかし同時に、そのことが問題を深刻化させているとも知っているからだ。良いとか悪いとかの問題じゃない。全く新しい発想が必要なんだ。〉