「オルタナティブメディアはG8で何ができるか?」

雨が降っていたので、江ノ島の夕陽は諦めて、早稲田大学に行ってきました。今月は大学生みたいに大学に通ってる。早稲田×2、法政、東大。
■ 環境・グローバリズム・メディア  オルタナティブメディアはG8で何ができるか?
http://linux7.sanpal.co.jp/no-g8/?q=node/115
5月31日(土)12時30分〜17時50分
早稲田大学 小野記念講堂・早稲田キャンパス8号館401,402
無料
これまではグローバリズムに反対する運動というのはヨーロッパや中南米で起きてるという、テレビのニュースで見てた的な、傍観者的な感覚が僕には正直ありました。だからこの春先に偶然購入した『月刊オルタ』という雑誌(「ブラジル移民100年」特集が目的だった)の後ろの方に載っていた、イルコモンズのコラム「もうひとつの世界はいつでもとっくに可能だ」で、
〈これまでのどんなG8サミットとも違って、洞爺湖サミットではむしろ完全な無言をもって、世界に日本の異常さがあらわにされるのではないか。なんの抗議行動もない“静かで安全なサミット”が、日本の終わりを明確にするのではないか。政治意識も社会性もない国の、世界史の中での終局の姿がそこに現出するのではないかと思うと、俺はぞっとする。福田政権がサミットまで持つかなどというレベルで、今度のG8を語っていてはいけない。洞爺湖サミットにおいて、「日本に市民がいない」「日本に市民的良心がない」という事実に、世界があぜんとする可能性は大きいのであり、そのときこそ我々は驚くほど深い軽蔑の対象になるだろう。〉
と、いとうせいこうの言葉が引用されているのを読んで、「うわ、俺、何も考えてなかった!」って思ったのです。バカだ、俺。何も知らない。
このイルコモンズのコラムは以下で全文が読めます。
http://illcomm.exblog.jp/6600763/
そのあと、中野通りに「NO G8」と描かれたステッカーが貼られてるの見たり、イルコモンズのblogでいろんな情報を断片的に仕入れたり、でも僕には悲しいことに「学」がない。なぜ、洞爺湖G8サミットに抗議すべきなのかがしっかり理解できてない。日本、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、英国、USAの、たった8つの「先進国」が世界の行方を決めちゃうのがよくない。そりゃそうだけど、でもちゃんと自分の頭で、自分の言葉で、何が問題なのか考えられるようになりたい。だからこうすればいいんだよ、というアイデアが出せるようになりたい。そう思ったからこのシンポジウムに行ったのです。雨が降っていたというのがいちばん大きな理由だけど(無料だし)。
主催はG8メディアネットワーク小沢健二も会場で配られたリーフレットにコメント寄せてたよ。
まず上映されたのがドキュメンタリー映画『ZUAN』(フェンス)。去年ドイツで開催されたG8についての作品。日本語版本邦初上映。すげー。もう日本のデモと全然違う。サウンドデモもあるし、フツーに市民がデモ(ハイキングのようだ)に参加して、サミットに抗議している。こういう映像を観ると「日本に市民がいない」という、いとうせいこうの危惧がなんとなくわかってくる。特殊な、活動家(アクティビスト)たちだけが抗議をしているわけじゃない。ピエロの扮装や、警察に花を差し出すユーモア(伝統的アクション?)もあるし、完全防備の警察隊と放水車に対峙して座り込みをしている女子学生の怯え(でも、ひるんでない)は、その指先の震えからもわかる。わあ、って興奮する。僕は単純なのだ。洞爺湖でのキャンプにも俄然興味を持った。「もうとっくにはじまっている」と言われても、すっかり出遅れてましたけど。でもまだこれからもいろんなアクションがある。 『ZUAN』上映の次に、違う建物(8号館)に移動して、ワークショップ。これが2つ同時に開かれるので「環境とメディア」というセッションか、「グローバル市民社会とメディア活動」というセッション、どちらに参加するか選ばなくてはならない。僕はなんとなく前者を選びました。
早稲田大学大学院のジャーナリズムコース教授が司会をし、雑誌『オルタナ』(前述の『月刊オルタ』とは別のもの)の副編集長、台湾のメディア・アクティビストオーストリア出身で今は東大大学院でオルタナティブ・メディアを研究している女性、合計4人による「環境とメディア」をテーマにした話を聞きました。
「greenwash」(緑塗り)という言葉をはじめて知りました。
その意味は、(企業・組織が)グリーン(環境保護)を考慮していると世間に思わせるために偽情報を流布すること。グリーン(環境保護)を考慮しているふりをしながら利益をむさぼること、だそうです。
このワークショップが約90分あって、次にまた、さっき映画を観た講堂でシンポジウム。「東アジアにおけるメディア・アクティビズムの可能性〜洞爺湖G8サミットにむけて」。
前述の台湾人メディア・アクティビストと、もうひとり台湾からのビデオ・ジャーナリスト(ふたりとも女性)、韓国のメディア・アクティビストがそれぞれの活動を話すという形になったのですが、通訳の時間がもったいなかった。たぶん参加者含めてほぼ全員(いちおう僕も)、英語で聞いてても何にも問題なかったのに……。シンポジウムもその前のワークショップも興味深い話はたくさん聞けたけど、話し「合う」というところまで時間がなかったのが残念。しかし、司会の明治学院大学非常勤講師という平沢剛さんも1975年生まれと、壇上のパネラーが全員僕より年下のシンポジウム……。オルタナティブ・メディアに「映像」が重要なことがよくわかりました。村上龍の小説『希望の国エクソダス』思い出した。インターネットがオルタナティブメディアの中心であるということはもう前提中の前提。
でも、でも、でも、僕が知りたかったG8の問題点については、さらにこのシンポジウムの前提のことだったようで、その話はなかったです。自分で勉強しなくちゃ。