下平晃道『HALF ASLEEP』

先日ミスしてしまった、しもんくんこと下平晃道画伯の個展『HALF ASLEEP』に今日はちゃんと行ってきました。
今回の個展タイトルの『HALF ASLEEP』を、「半分寝てるような、眠りに落ちる直前にイメージする風景」と、しもんくんは説明してくれたけど(会えました)、凡人の僕には何度うたたねしたところでこんな光景は見えるはずもないドリーミーな楽園世界。美しい。作品スクラップまでじっくり時間をかけて見ました。
会場は今年秋に取り壊されてしまうという阿佐ヶ谷住宅の中の「とたんギャラリー」。住宅がギャラリーになっています。壁にも、床にも、畳にも、鏡にもしもんくんの絵が描かれています(→ 壁に絵を描くしもんくん)。二階にはこのギャラリーを運営している大川幸恵さんが実際に住んでいます(今日、大川さんとお話していて、最初「住宅の耐震対策にすごく詳しい人だなあ」と思ったのですが、大川さんは「建築家」でもあるのでした)。
とたんギャラリーは主軸になる4つのコンセプトがあります。
「場所性と終わりを考える」
「住まい及び団地というフィールドを使う」
「ヒトとヒト、時間の重なりを実体化する」
「プロジェクトそのものが1つのインスタレーションである」
  このコンセプトに基づいて、特異なルールが設けられています。
(1)原則、現状復帰は行わない。
(2)参加アーティストは、エキシビジョン終了後、1点以上作品を残す。
(3)次作家は前作家の作品をどのように扱ってもよい。
(4)ギャラリーの運営者であり取り壊しまで住み続ける住民は、一切作品に手を入れることはできない。増殖していく作品たちとともに暮らす。
http://www.totan-gallery.com/totan_l.htm#concept
これらのコンセプト、ルールが別にユニークさを求めてのものではなく、この阿佐ヶ谷住宅という空間を大切にしているからということが、大川さんとの会話から(しもんくんの言葉からも)伝わってきました。とたんギャラリーそのものが、まさに〈「終わり」までのアートプロジェクト〉なのです。大川さんがつけている「阿佐ヶ谷住宅日記」というサイトも僕はこれから観測していきます。
今月末、ここで開催予定の「ダイニングデスク」というイベントには偶然にも最近僕が取材したばかりの人が登場するそうです(未発表)。ぜひ行きたいです。
下の写真は、庭づたいにとたんギャラリーにやってきた猫のクロ。ここのいちばんのリピーターだそうです。