「つづら折りの宴 」@スターパインズカフェ

辺野古」は「へのこ」と読みます。「ニセコ」と似た響きだけど北海道ではなく沖縄にあります。スキー場ではなく美しい海があるそうです。上のポスターに描かれているジュゴンは、辺野古の海に生息しています。この辺野古海上に、これまで普天間(ふてんま)というところにあったヘリポートが移転されようとされています。
僕の生活は東京にあり、ジュゴンや沖縄の海とは日々一ミリも関係なく進んでいます。僕の近所には米軍基地もないから学校にヘリが落ちることもたぶんない。プルトニウムの再処理工場もないから放射能も見えない(最初から見えないけど)。だから、いろんなことが見えてないし、忘れてしまう。そんな日々だから、音楽でも、映画でも、本でも何でもいいけど、自分の生活している半径50メートルの向こうにある世界を伝えてくれる、そちらに橋渡ししてくれる扉はとても大事な存在になります。
「Peace Music Festa! 辺野古」は、2月24日・25日に辺野古ビーチで開催される。
今日の東京での、明日の大阪でのライヴ「つづら折りの宴 」はそのプレ・イベントのようなもので、2日間の収益金が、Peace Music Festa! 辺野古の開催に使われるそうです。ソウルフラワーとDUTY FREE SHOPP.×カクマクシャカは去年8月、那覇での「つづら折りの宴」でも共演。そのライヴ・レポートはRIKのこちらで見ることができます。
少し雨が落ちてきた吉祥寺。入場の順番を長蛇の列の後ろで待つ。
今夜のトップバッターはサヨコオトナラ先月の南青山でのライヴも観た。日記が発掘できなかったけど去年は新宿ロフトでも観ている。ボーカルとギターとジャンベというサヨコさん・オトさん・ナラさん3人による小さな編成だけど、裸足になって踊りたくなるようなグルーヴを生み出す。ポジティヴなメッセージは強く、やさしい。奄美の民謡で、白塗りの男性がステージに登場し、ゆるやかに踊った。サヨコさんの紹介で、その男性が三重県の「月の庭」というカフェでありライヴハウスの店主オカダマサルさんだということがわかった。「月の庭」については山口洋2001年のこの日記に記している。いろんな噂の人物なので、観ることができてうれしい。 「ハチドリのひとしずく」をサヨコさんが朗読したのを、二階で僕の隣にいたカクマクシャカがちょっと驚いてたけど(カクマクシャカ去年秋の「Clap Hands!」で朗読した)、サヨコさんはいつもステージでこの物語を読んでいるのです。最後から2曲目の「ポルケ」という曲が好き。OTOさんタンゴス時代の曲で、移民のことを歌っている。今日はこの曲の最後にサヨコさんがラップをした。
続いてソウル・フラワー・モノノケ・サミット。「聞け万国の労働者」からスタート。モノノケ観るといつも思うのが、ジョン・レノンの「POWER TO THE PEOPLE」とかパティ・スミスの「PEOPLE HAVE THE POWER」とかそういった曲のこと。日本にもそういった歌がある(ジョン・レノンよりもずっと前の時代から)ということを僕はモノノケで知った。メッセージソングであり、ダンスミュージックであり、ユーモアもある。(歌詞を知らなくても)適当に一緒に声が出せて、力が湧いてくる。まさに、歌の力。中川敬の歌は、そのまま何のあやふやなところもなく縦書き、漢字まじりの歌詞となって心に届いてくる。「満月の夕」(→ 毎日新聞の記事)があって「ちょんちょんきじむなー」があり、「安里屋ユンタ」があり(サヨコオトナラのとき二階で派手に踊っていた女の子が仲村奈月だった! 知花竜海プロデュースのアルバム(?)持ってます!)、「がんばろう」でしめた、のかな。記憶不確かです。
僕はもちろん、満員の客席もとても盛り上がったモノノケのあと、いよいよDUTY FREE SHOPP.×カクマクシャカの登場。去年の2月、コザの民謡酒場での突然のパフォーマンス(アカペラ・ラップ)以来、何度も観ることができてきたけど今日はDJを加えてのスタイル。shing02関係でメリージョイ・レーベルのDJだそうです。「太陽ぬ島」で始まり、お互いの新曲を披露し、最後は「民のドミノ」、「無知の知」、「音アシャギ」という流れだったのかな。これまた記憶不確かだけど。たぶん彼ら初体験の人が多いはずのフロアが一曲ごとに反応が、熱気が上がってきてるのがわかってうれしかったです。
カクマクシャカの新曲「ANETTAI」(CLUBKINGでpodcastingされてる)の中の「アメリカ世から大和世」「大和世からアメリカ世」というフレーズに、僕の怠惰なところを撃たれたような気がした。先日観たドキュメンタリー映画『ダーウィンの悪夢』で描かれたタンザニアは、ヨーロッパなど北の国々の消費に翻弄されている。アメリカ、日本と、「統治者」が変わっていく沖縄。その状況に「ワジワジ」し、声を上げるカクマクシャカ。東京での僕の平穏な日々の後ろにある状況。
「民のドミノ」は、2004年に普天間の米軍基地のヘリが沖縄国際大学に墜落した事件を歌ったもの。今日はVJが、当時の写真をステージ後ろのスクリーンに映し出す。知花竜海の「カーミヌクー」は永遠の名曲。以前、歌詞をこちらに少し紹介したけど、この曲だけでも配信などで多くの人が聴くことができるようになってほしい。 終演後、近くの「旅人食堂」でちょっと飲む。スターパインズカフェに来ていたFUJI ROCK朝霧JAM仲間が7〜8人。途中からDUTY FREE SHOPP.知花くん、カクマクシャカ、VJのしんじょ君も合流。楽しかった!


音アシャギ(DVD付)

音アシャギ(DVD付)