宮沢和史 那覇・桜坂劇場

会場となった映画館の桜坂劇場は、宮沢和史が自ら決めてきた会場。沖縄的な言い方をすると「でーじ上等」でした。環境もいいです。平和通り商店街をずーっと奥に進んでいって、Y字路を左へ、坂を登っていく。手前のゲストハウスのレセプションなんて、もろアジアだ。桜坂劇場の一階のカフェもブックショップも、二階にGET HAPPY RECORDSがあるのもいい。桜坂劇場本来の上映プログラムも上等。中の椅子も上等です。
宮沢和史弾き語りコンサート「寄り道」2 DAYS。
開演前には宮沢撮影の写真が次々とスクリーンに映し出されていきます。開演のブザーの後には、中江裕司監督による「沖縄に降る雪」と宮沢が沖縄で撮った「あの海へ帰りたい」ビデオクリップの上映もありました。
沖縄での弾き語りコンサートは初めてということで、ステージも客席もお互いが緊張していたのかちょっと固かった初日。でも二日目はオープニングの「なんなら2時間、お話し会にするか、人生相談でもしましょうか(笑)」という宮沢の言葉で客席もリラックス。友部正人さんの「こわれてしまった一日」からスタートしました。こういったカバー曲が聴けるのもこのコンサート・シリーズの楽しみです(他にもローザ・ルクセンブルグやブラジルのボサノヴァも)。トークも面白い! 黒島を旅したときのエピソードや、「旬果搾り」CM撮影の話など、沖縄にまつわる話をたくさんしておきながら、まーったく逆の位置にある北海道の最北端、稚内の光景を描いた「白いハマナス」を歌ったり、歌の間に詩集「寄り道」からの朗読があったり。新キャラクター、黒島出身の沖縄民謡歌手、宮良和史(ミヤラカジフミ)も登場した! 宮良和史の名で(「宮良」は沖縄によくある名字)、いつか沖縄民謡だけのコンサートを開きたいそうですよ! 
このコンサート前夜、宮沢も飛び入り出演したブラジル音楽系のイベント“カルナバルの夜”*1を観て、沖縄のミュージシャンたちは(沖縄出身者以外もいたので、正確には「沖縄を好きなミュージシャン」たちは)どうしてこんなにブラジルが好きなんだろうと不思議に思ったものです。僕も両方好きなのでそれは「不思議」というより、自分でもその理由を知りたいという気持ち。でも、宮沢がこの日、コンサートの中でその理由を話していました。ブラジルも沖縄も、生活と音楽が結びついている。みんなが音楽を愛していて(本当にそう思います。沖縄のタクシーの運転手に「好きな民謡歌手は誰ですか?」と訊くと、みんながそれぞれのフェイヴァリットを答えてくれる!)、誰もが同じ歌を歌える。だから好きなんだと。そして、日本からブラジルへの移民が始まって100周年になる2008年には、ぜひブラジルに歌いに行きたいと。
コンサート終盤には、昨年末から我如古より子さんに師事し、沖縄で民謡を習っているクラウディア大城が登場し、クラウディアの三線で「沖縄に降る雪」と、沖縄民謡の「二見情話」が歌われました。ホンジュラスニカラグアでの体験を話しての新曲「Still Blue」弾き語りは特に染みました。
アンコールでは「沖縄に住むいちばんの親友」であるディアマンテスのアルベルトが現れ、宮沢和史(ギター)+アルベルト(三板)+クラウディア(三線)の3人で、「島唄」がウチナー口とスペイン語で歌われました。
沖縄への愛情がたーっぷりと歌われ、語られた二日間。THE BOOMともMIYAZAWA-SICKとも違う、自由形宮沢和史を満喫できました。

この前日の写真レポート(「RIK」写真KUWAさん、テキストKEN子さん)は

http://okinawa.rik.ne.jp/contents/music/report/miyazawa/index.html 
 

*1:Saigenjii、福和誠司、比屋定篤子+笹子重治、のマド、カチンバが出演