最近読んだ本memo

アンダー・ザ・ドーム 下 徹夜で一気に、というわけにはいかなかった。上下巻で1300ページを越える長さ、それに登場人物の多さ(ファーストネームから性別がわからない非ネイティヴ読者としては何度も「この人だれだっけ?」という状況になります。さらにニックネームまである!)が障壁となった。
障壁、これがメイン州の小さな町、チェスターズミルをなんの理由もなくすっぽり覆い、町は世界から遮断される。
ガイガーカウンターのシーン、「見ているとメーターの針が跳ね上がって、+200に到達した」(p237)。こういうとき、いまの僕には「単位」が気になる。ミリシーベルトなのか、マイクロシーベルトなのか。
下巻の帯の、「遮断された電気。減りゆく食糧。刻々と汚染された空気」というコピーは、現在進行形のこちらの恐怖を表しているかのようだ。
いとうせいこう『からっぽ男の休暇』
南の島で毎回、ひとつずつ童話を思い出していく「からっぽ男」の連作短編小説。東京での仕事をすっぱりと辞め、一年間の休暇を南の島で取る男。
〈やはり僕はからっぽを出て、からっぽに着いただけなのだろうか。いや、もともと僕自身がからっぽで、どこに行っても、そのからっぽを満たせないのだろうか。こんなに優しい南の島でも。〉
作者のその当時の心象を想像すると切ないし、その中でも着想し、物語を紡いでいく創作力に感服します。手元に置いておきたい、なくしたくない本。いとうせいこうの本は絶版が多すぎる!
[rakuten:book:13211239:image] 2009年刊。「0円ハウス」から少し離れて、宝くじ売り場、靴磨き屋、フリーマーケットなど、坂口恭平がフィールドワークした、都市の「見えなくても、ある」具体例を紹介。
〈必要な空間を新しく作り出すのではなく、身の回りに既に存在しているものを自分の体の延長であると再認識し、空間を構築していく」これこそ新しい生活、建築の形であると、僕は考えている。〉