説明会

災害ボランティアの説明会に行ったのは3月30日。地震直後からボランティアに行きたい気持ちはありました。3月19日には、浦安市での泥かきボランティアにも参加しました。
インターネットの告知で知って、都内にあるそのNGOの事務所にこの夜集まったのは約250人。同日、報道で入っていたNHKテレビによると、20代から60代までの男女。外国人も10数人いて、会場の隅では英語の同時通訳が行われていました。
このNGOが活動しているのは宮城県石巻市。その現状と活動が説明されました。「ボランティアは時期尚早という意見もあるが、それは受け入れ先がない場合。現地での人手は無限に必要」とのこと。
現地でのボランティア・リーダーと電話をつなぎながら、スムーズに、しかし、強烈な現地情報が説明されていきます。現地リーダーは、阪神大震災以来、チリ地震スマトラ地震など国内外の災害で救援活動をしてきた人で、今回も3月17日から現地入り。このNGOのボランティア、第一陣も3月23日に50人が現地入りしています。僕らは4月8日出発の第三陣となります。 現地でしている活動は主に、炊き出し(一日1000食)と泥かき。避難所に避難している人たちに、物資は届きはじめた。でも、避難所に入らずに、被災した家や車でそのまま暮らしている人たちへの援助物資、食事の供給が難しい。温かい食事を地震以来取れていない人もいる。そういう人たちへの炊き出し、デリバリーをしている。避難所に入らずに車で寝泊まりするいうのは、家を失い、唯一の財産である車を盗られないために、そこで暮らしているとのこと。
炊き出しの他にもうひとつの主な仕事は、泥かき。津波により泥が入り込んだ老人ホーム、学校などから泥の撤去最近の例に挙げていたが、こういう人手が必要なことがボランティアにしかできないこと。他のことは、ガソリン不足が解消すれば、被災者自身が車で動きまわれるようになるので、状況も変わってくる、と。状況は日々変わるが、こらからも確実に必要なのが泥かき。
なんども強調されていたのは、「人手は無限に必要」ということ。なぜ「ボランティアが時期尚早」と言われたかというと、バラバラに現地に入ると被災者との約束が果たせない。だけど受け入れ先とニーズがあっていけば、泥かきなど、無限の人手が必要なことができる。 ボランティアの受け入れ先は「社会福祉協議会」。僕は今回初めて知りましたが、全国にあり、災害ボランティアの受け入れはすべてここで行うとのこと。ただ、今回の震災が特殊なことは、社会福祉協議会自体も被災してしまったこと。宮城県では現在4市町村だけが、県外のボランティアの受け入れをしていて、石巻市はそのひとつ。このNGO石巻以外で活動をしていないのは、「やらない」のではなくて、石巻の惨状にここで行うのがせいいっぱいだから。しかし、一週間ごとに送り込むボランティアの規模は順次拡大していっている。
現地の説明も終わり、今回のボランティア募集が、主に泥かきなこと。それが重労働なので、「15キロ以上のものが持てる人」。「1日8時間以上、1週間作業が続けられる人」、「20歳以上」、という条件が提示され、それに合う人が会場に残り、5分休憩後、オリエンテーションに進む。
説明会からオリエンテーションまでの5分の休憩時、結果的にシンキングタイムとなったこの時間で、自分の想像力を全速で回転させる。まわりを見ながら、自分に問いながら、「行く」ことを決める。マラソンのスタートラインに立ったときと気持ちが似てる。屈伸しながら自分のスペックを総点検し、周囲のランナー、天候、風向き、などあらゆる情報を処理してる。自分は、大丈夫なのか。不安はある。
マンガ『岳』の主人公みたいな、山岳救助のプロ、みたいな人だけが残ってるというわけではなかった。これもマラソンのスタートラインと同じ。老若男女、いる。「4月3日に20歳になるんですが、いいですか?」と質問する男の子がいた。スタッフから「ぜんぜん、だいじょうぶです!」との返答。緊張がほぐれて、笑顔になった。
「参加希望人数を知りたいので周囲の5人で一組になり、その中の代表が手をあげてください。数えます」ということでぱっと5人になる。計測方法、速い。約130人が残ってる(説明会は250人ぐらい参加)。
「現地での活動は、5人のグループ単位になります。いま集まってもらった5人がそのグループです」。えー! 僕のグループは、46歳女性、41歳男性、僕、30歳男性、25歳男性の5人。「5分で自己紹介してください」。名前だけメモをとっていく。「リーダーを決めてください。決め方はお任せします」。急速に5人組のコミュニティができていく。僕らの中では41歳Tさんが立候補により代表に。このグループリーダーが、連絡役になる。
「10分間でテントなど持ち物について話し合ってください。出発日まで集まれるのは今日だけです」。急いで、グループ内の連絡先をお互いメモし、装備を確認する。
ボランティアは自分のための全ての食料、水を持参し、泊まる場所はこれも持参したテントになる。自己完結の鉄則。「食料は米の人、パンの人と分担して持ってくる」のか、否、「食べ物は活力の基本なので自分が好きなものを持ってくるほうがいい」など、素早い論議がいくつか。ストーブ(料理用)をどうするか、水はひとりどのぐらい必要か、などなど。タイムアップ。これで解散。さて。