江の島の夜

昨日は江の島に行ってきました。正確には江の島海岸の目の前にある、ビルの7階のライヴハウスリクオ山口洋小坂忠さんが出演。
片瀬江ノ島海岸に面したこのビルは円柱形をしていて、不思議なことにいくつかのフロアに、音楽系の店が入ってる。
僕が初めてこのビルに来たのは、たぶん10年以上前。在日ブラジル人のオールナイト・イベントがこのビルの4階であって、在日ブラジル人のヒップホップってどんなんだろうって興味を持って、当時の会社仲間たちと仕事が終わったあとに電車に乗って片瀬江の島駅に向かった。 夜のほぼ最終に近い便で江の島に向かう乗客はとても少ない。昼間に海で遊んで逆方向に帰る人たちのピークも過ぎてるし。果たして駅前も閑散としていて、でも店のドアを開けるとそこはポルトガル語を話す、日系人たちの熱気に溢れていて、まるで異世界のように感じたのを覚えている。あまりの混雑ぶりに途中で何度も店を抜け出し、深夜の海岸を散歩したり、イベントが早朝に終わってからは、まだ猫しか起きていない江の島に出かけたりしたんだ。
昨日は18時スタートのライヴだったので、最初、窓の外は夏の風景で、ライヴが進むにつれてそれが夕景に変わっていった。ちょうど一部と二部の休憩のときは富士山が綺麗に夕陽に映えて、店中のお客さんたちのほとんどが窓際に集まって携帯で写真を撮り出したので、重心の偏りでこのビルがピサの斜塔みたいに傾いたら面白いななんて考えてました。陽が落ちると外の景色はオレンジ色の街灯と、車のライトしか見えなくなり海の輪郭がわからなくなる。
ライヴが終わって、上の階から降りて来たエレベーターに乗り込むと、スペイン語なまりの英語を話す外国人の男女が5、6人いた。「7階では何をやってたんだい?」と訊かれ、コンサートだよ、と僕は答える。彼らは上の階でラテンのディスコで遊んだ帰りだそうだ。4階からは日本人の若い男が乗り込んできて、彼らに「ここで遊んでいこうよ」と誘う。「もう東京に帰る時間だからさ、ほら、僕らは電車だし、昨日も朝まで遊んじゃったし」。そんな会話。1階に着くまでに握手を交わす仲になる。酔っぱらい国際連合