南高尾山稜トレッキング

一ヶ月ぶりに高尾山を走ってきました。正確には走ってないや。トレランならぬトレッキング。前日にmontrailのトレランシューズ(斜面でのグリップ力が、これまで使用していたミッドソールまで見えてる、耐用期間越えのランニングシューズと全然違う!)をついに購入したので、朝起きたときに小雨が降っていようがどうしても高尾に行きたかったのです。それに僕が高尾に行くときは通算すると晴れと雨が半々ぐらいだし、もうあんまり雨も気にならない。この季節なら雨だからといって防寒具が必要な気温にはならないし。
いつもの高尾駅集合ではなく、今日は京王の高尾山口駅に9時集合。河原崎さんが風邪で欠席のため、僕と田畑さんだけでした。高尾在住の田畑さんはバイクで来たとか。高尾山口集合にしたのは、いつもの「天狗トレイル」のコースではなく、雑誌『Tarzan』6月24日号に紹介されていた「高尾山外周」コース(の前半部分)を走るため。駅前をちょっと抜けて甲州街道を渡ったところに、目立たない登山口があります。そこからスタート。
今日は荷物を迷いました。小雨だけど雨具なしでもいけそうな気がしてた。ここに戻ってくるのなら着替えとか余分な荷物置いていきたい。だからあまり使ったことのないウエストポーチに2000円とエネルギージェルとiPhoneだけ入れて装着して、リュックの着替えとか雨具などの残りは駅横のコインロッカーに預けてしまったのです。あ、飲み物もってないや。でも雨だから喉も乾かないだろうし、道中に湧き水や茶屋もあるだろうし、いいや。って甘い。
最初の登り口が急で、その歩いたペースのまま、今日は最後まで走らずに早足でぐいぐいと進みました。このコースは登山客もトレイルランナーもほとんどいなくて、道幅もある程度あり(ふたり並べるぐらいはある)、雨は頭上の枝葉にさえぎられ、心配してた蒸し暑さもなくて涼しい風が気持ちよかったです。草戸峠、中沢峠、大洞山と標高536メートルまで登りが続くこのコースは走り続けるのは大変だけど、ロング・ストロング・トレッキングとして楽しい。道中、田畑さんにはマラソンの話(田畑さんはフルを3時間7分で走っている)や、アウトドアの装備や、読図の重要性(僕はこれがまったくできない)、「もや」と「霧」との違いなどを伺う。休憩はほとんどとらない。僕はたぶん休憩で一回腰を下ろすと、そのあと歩くのがめんどくさくなるタイプだ。大垂水峠までの約2時間はほぼ登りの連続だった。
大垂水峠で、甲州街道を陸橋で越えてすぐの湧き水で喉をうるおす。水が甘い! この水にトンネル工事の止水剤セメントミルクが混入してたらイヤだなーと思う。大垂水峠を越えた途端、中途半端な達成感からか足の進みがのろくなる。どうやら田畑さんも同じようで、ここで僕が先頭に変わる。大洞山の山頂で田畑さんの携帯に電話があり、日影沢キャンプ場でワークショップが今日開かれるということを知ったので、そちらまで降りて行こうかという話になったのだ。少人数だからこういうルート変更は素早い。でも、とにかく高尾山山頂まで行って、茶屋でビール飲みましょうと。ここはビールが唯一のモチベーションでした。人間、なんか動機がないと普通以上の運動なんてできませんよ。ビール、ビールって考えながら一丁平を越え(ここには大勢の登山客がいた。お昼時だったのでお弁当を広げてた)、もみじ台を越え、山頂へ。すぐさま茶屋に入り、田畑さんは500ミリリットル、僕は350ミリリットルの缶ビールを購入。お腹もすいたのでそのまま茶屋でそばを食べました。僕はなめこそば(850円)。ビールの最初の一口がうまいのなんのって!
高尾山山頂から日影沢に降りる道は、先月、道に迷った。でも今日は田畑さんがいるから大丈夫。そうか、ビジターセンターより下にある、いろはの森への下山口を降りていけばいいのか。急勾配の階段を「酔ってるよねー」などと言いながらふたりでふらふら降りていき、約1時間。日影沢の渓流で顔を洗い、ツリーハウスに到着。ここまでで約4時間の歩行。さすがに疲れて、まだワークショップ一行が来ていないので小雨が降る中、そのまんま雨を身体に感じながらウッドデッキで昼寝してました。 ワークショップというのは、ドキュメンタリー映像撮影についてというテーマでした。2月にスノートレイルを一緒に走った桜井さんが講師でした。僕も田畑さんもそんなワークショップだというのに携帯電話のカメラしか持ってないから完全にオブザーバーだったけど、初めて見る人の気持ちになって撮ること、場面をたくさん撮ること、一場面の秒数(5秒以上)をしっかりと撮ること、インタビューはバストアップなど、実践的な教えでためになる。課題は日影沢渓流の魅力を伝える、ということでした。右の写真は、バス停を撮ろうとしている坂田さん。僕ならどう撮るだろうと、去年、参加させてもらった「ご近所映画クラブ」のことも思い出して、ちょっとわくわくしました。
さて、僕は高尾山口駅のコインロッカーに荷物を置いているので戻らなければならない。日影沢からはバスで高尾駅に行き、そこから京王に乗るという高尾山回避コースしか交通手段がないけど、バスと電車に乗るぐらいなら、歩いて山を越えてその運賃分でビール飲みたい。そう思ってはみたもののさっき下ってきた急勾配を登るには1時間以上は確実にかかる。いまの疲労度では厳しい。田畑さんが教えてくれた蛇滝修行道への入り口まで道路を歩き(バス停3つ分)、そこから修行道を登るというコースを選択。裏高尾を歩いていくと、見るだけで胸が痛むトンネル工事の現場が現れる。
午後3時過ぎの蛇滝への道はほとんど人がいない。日影沢へのルートより急ではないとはいえ、それでも500メートル近くを登るのはきつい。ひとりだし。道に迷うことも充分想像してたので、一時間近く修行者の気持ちでつづら折りの道を登っていき、ついにケーブルカーのモーター音が聞こえてきたときにはほっとしました。ここでビール飲む余力はなくなっていて(リフトで降りようかと一瞬考えたほど)、さっさと一号路で降りました。全部舗装されてるから一号路は楽だー。高尾山口駅まで全7時間(たぶん25キロぐらい)の行動。久々に運動したという実感(+疲労付き!)