デュラン・デュラン

12月に処方された新しい薬の副作用がひどくて、しまいには副作用どころか「効能」とは逆の影響まで出てしまって、先月は大変でした。
2007年春ぐらいの、部屋で膝かかえてたゾンビ状態(別名=ロメロ・ゾンビ)、本を書いてた2009年春頃(別名=走るゾンビ)に続く、「ゾンビ3.0」と名付けたくなるほどの落下。ほぼコミュニケーション拒否状態。一ヶ月間、メールをチェックしてなかったら、メールボックスがパンクしていた(広告メール1500通以上)。連絡もできませんでした。ごめんなさい。
デュラン・デュランの懐かしい曲とおなじ名前のこの薬は、去年の9月に認可さえたばかりという、SNRIでもSSRIでもないという新しいタイプのもの。あらかじめ聞いていた副作用のひとつ、頭痛は最初の一日だけだった。
ひどかったのは、まず、悪夢。悪夢ならこれまでさんざん見てきたけど、この薬を飲んだ夜から始まった悪夢は、ものすごく生々しい痛みに満ちていて、しかも現実ときちんと接点があるもの。僕にスティーヴン・キングの1億分の1の文才があれば、ここでその世界を詳細に描写するんだけどな。『リーシーの物語』みたいに。
また、これははじめての経験だけど、異常なまでの食欲の亢進。3週間で体重が3キロ増えた。一日にいままでの2倍近い量を食べていた。午前中に2回、午後に3回の食事。とにかくお腹がすく。嗜好までも曲げられてしまった。自分でも驚いたことに、僕はずっと食べてなかった鶏肉まで買って、むしゃむしゃと食べたのだ。クリスマスにローストチキンを食べるなんて何年ぶりだろ。
でも、悪夢だとか異常な食欲といった副作用なんて全くもってたいしたことなんてないね、と思えるほどの「調子っぱずれ」に、僕はなってしまったのだ。「ゾンビ3.0」。具体的には、書かない。効果のある人もいるのだろう。僕には合わなかった。
で、いまは、今月最初の受診時に担当医と相談して(というより僕が強く希望して)、デュラン・デュランも、別の「調子っぱずれ」対策の薬も飲むのをやめています。もうたくさんだ。キングの小説『痩せゆく男』のフレーズを借りれば、「主として自分で治すしかない」のだ。それが呪いであろうと何だろうと。
薬をやめていま10日ほどが経った。3キロの体重増は、「痩せゆく男」みたいにすぐに消え去った。やばかった日も何日かあったけど、昨日今日の僕の気分は、ここ数年でいちばんクリアだ。「ゾンビ3.0」になってからずっとできなかった長距離走も昨日ついにできた。近所の公園のトラックを50周、22キロ。前みたいに途中で周回数がわからなくなることもなく、最後までカウントできたし、タイムも思ったほど悪くない。