千葉県知事選で群馬県の「八ッ場ダム」建設の是非が争点になる理由

3月29日に千葉県知事選が行なわれます。
3月14日にたまたま千葉に行ったら、候補者掲示板の中で「八ッ場ダム計画中止」を大きく政策として挙げてる人がいました。そのときは、千葉県ではなく群馬のダム工事の是非をなぜ千葉知事選で訴えるのだろうと疑問だったのですが、3月15日の「バカ環」と、その翌日、八ッ場(やんば)まで見学に行ったことで(この日の日記はまだ書きかけ)、千葉県知事選で八ッ場ダムが争点になるのもなるほどと思いました。
僕らに八ッ場を案内してくれた「八ッ場あしたの会」のサイトにも、「これは、首都圏の水問題です。」ということが最初に謳われています。八ッ場ダムは、関東の一都五県の飲み水確保と百年に一度の規模の大洪水に備える治水のために建設計画が立てられたそうです。このダムのために吾妻川中流部の川原湯温泉街や国道、JRなどがダムの底に沈むことになり、自然豊かな渓谷は姿を変え、そこに住んでいた人は土地を離れなければいけません(上の写真は代替え地に建てられた新しい小学校。学校のすぐ裏には砂防ダムがあり、斜面にはアンカーが一面に打ち込まれて山崩れを防いでます。そんな危ないところに小学校を造るなよ!)。
八ッ場ダムの事業費は4600億円(「全国トップの規模」)。それだけでなく関連工事、関連事業、利息を含めると総額は9000億円近くになるそうです。この工事費は国や一都五県が負担します。同会の資料によると東京都の負担は1274億円、千葉県は755億円。しかし、首都圏では実は水は余っているそうです(資料→)。未曾有の洪水が襲ってきた場合のダムによる治水効果についても疑問が呈されています(資料→)。
となると、これはやはり群馬県の問題ではなく、「首都圏の水問題」であり、これだけ巨額な公共事業であれば千葉県の知事選挙で争点となるのも当たり前です。ちなみに、八ッ場ダムができるとこれまで地下水を利用していた千葉県佐倉市習志野市船橋市四街道市は、地下水ではなく八ッ場ダムの水を使わなくてはいけません。
千葉県知事選挙の投票率は毎回「全国的に見ても低」いということですが、この投票率の低さが結果的にムダな公共事業を容認することになります。しかも、そのお金を負担するのは僕らです。



上の映像は、アルジャジーラによる「八ッ場ダム計画」の報道。日本語訳は「八ッ場あしたの会」のサイトに掲載されています。