カクマクシャカとAINU REBELS

昨日は一橋大学の学園祭で、「人びとの南米〜もう一つのグローバリゼーションと国家〜」というシンポジウム(廣瀬純氏萱野稔人氏による対話)を観に行きました。今日は早稲田大学の学園祭で学生主催の「Who knows OKINAWA?」というイベントにカクマクシャカを観てきました。
カクマクシャカに会うのは今年6月の「Peace Music Festa! from 辺野古」以来(Smashing Magによるレポートはこちら)。
早稲田大学7号館301教室。カクマクシャカの出番は主催者とのトークから始まったけど、主催者の曖昧に思える質問に、その意図をきちんと聞き返すカクマクシャカの姿勢が良かった。例えば、主催者は「民のドミノ」という曲や、「アレの話(はやめとこう)」という曲が生まれた背景について訊く。カクマクシャカは東京の学生であるあなた(主催者)がこの曲にどう感じ、なぜ沖縄に関心を持ったのかと問い返す。これは非常に重要なことなのだ。なぜなら、「アレの話(はやめとこう)」は、基地やそれに依存することによってある雇用や金、差別などの沖縄の問題に対して、逆説的に、だからこそオープンに対話していこうと歌っている曲であり、「民のドミノ」にしても、沖縄だけの問題ではなく、今日カクマクシャカが話していたように六ヶ所村カクマクシャカshing02と共に「無知の知」という曲を発表)や高尾山にも共通する、日本のどこでも抱えている問題だからだ。対話とは、自分の考えを話し、相手の考えを聞くこと。それをきちんとしようとしているカクマクシャカに誠実さを感じました。
DJ トクメイキボウと共に行なわれたライヴ・パフォーマンスは、今年7月、地元沖縄でshing02を迎えての共演を経たことも大きいのだろうけど、一語一語の伝達力が格段に上がってる。鳥肌が立ちっぱなしだったぐらい。たぶんカクマクシャカのラップにおける言葉の説得力の凄さは、リリックのための韻踏みでも、ヒップホップ愛好者のためだけのラップでもなく、ずっと抵抗の「現場」で歌ってきたからだと思う。「現場」で発信し、伝えるためのラップ。
早稲田大学から中野駅前に移動して、昨日今日と開催の「チャランケ祭」へ。アイヌと沖縄のお祭り。お目当てはAINU REBELS(アイヌ・レベルズ)。首都圏に住むアイヌの若者たちで結成されたグループ。下のyoutubeの映像からヒップホップだと思ってたんだけど、CDJターンテーブルを使ってのリズムとスクラッチはヒップホップだけど、6本のマイクスタンドで歌われる全編アイヌ語の女性ボーカルのハーモニーと(下の映像にある日本語のラップはなし、それと昨日はアイヌの文様が描かれた衣装がかっこよすぎ!)、ブラジル・バイーアの音楽にカポエイラがセットであるようにそこにアイヌの舞踏(カポエイラのように、アイヌの武闘を模した踊りもある)が加わってのステージは全く未知のもので、ひきずりこまれた。そんなふうに興奮してたのは僕だけじゃなくて、数百人の観客が演奏が全部終わって、彼らが挨拶をしてもアンコールを求め続けた。こういった出演者の多いイベントでアンコールは異例で御法度のはずだけど、その声はどうにも止まらなかった。アンコールは、「アイヌもシサム(日本人?)もウチナーンチュも外国人も、一緒になってアイヌの響きで踊ろう」ってMCがあったのかな(記憶不確か)。アイヌカチャーシーというか、AINU REBELSのメンバーを中心に本当にアイヌもエイサー姿の人も外国人も子どもも、観客が何重にも囲んで一緒に踊るというフィナーレ。中野駅前の会場が解放区になった瞬間でした。