石川直樹 / FUNKIST

沖縄行きの飛行機から読み始めた石川直樹「この地球を受け継ぐ者へ」(講談社)を今朝読み終えました。
これは、人力地球縦断プロジェクト「P2P」(Pole to Pole 2000の略)の日記。カナダ、アメリカ、アルゼンチン、韓国、南アフリカ、フランス、日本の19歳から26歳まで7カ国8人の若者が約10ヶ月、寝食を共にしながら北磁極から南極点までソリや自転車などほぼ人力で縦断するプロジェクト。著者の石川直樹さんは1977年生まれで、この旅に参加した当時は22歳。
P2Pのおもな目的は、多くの人々と話しお互いにインスパイアしながら新しい環境を創り出すための小さな一歩を踏み出すこと。決して単なる人力移動の旅ではない〉(2000年10月30日の日記)という言葉通り、このプロジェクトでは旅の途上、学校などで何度もプレゼンテーションを行なったり、各地のNPOなどで一緒に作業をしています(例えばワシントンではホームレス保護施設の掃除を手伝い)。国籍の違う同年代でチームを組んで、北極から南極まで人力で旅し、さらに各地での出会いがたくさんあり、ものすごく濃い、得るものの大きなプロジェクトだったんだろうなあ。
〈いまの時代、すでに多くの人が足跡を残している極地に向かうことや高い山に登ることはぼくにとってもはや冒険とは思えない。個人としての行動より、その行動を取り囲む環境や人々、テーマに興味があるのだ。旅の経験をどのように人々と分かち合うか、あえていうならそれがぼくにとっての「冒険」である。〉(あとがきより)
P2P」はWEBでもプロジェクト中に更新されていて(通信事情が悪くて大変だったらしい)、
http://www.straightree.com/p2p/index.html
で、石川直樹さんの当時の日記が読めます。
石川直樹さんのこの本みたいに、僕はいま、あるミュージシャンのWEB連載の日記を書籍化するための編集作業に入っています(文字量がべらぼうに多い!)。このミュージシャンの経験や視点もやっぱり多くの人に分かち合ってほしいと思ってます。
夜はFUNKISTのワンマンライヴ@渋谷O-EASTに行ってきました。
去年の1月に彼らのワンマン(そのときは向いのO-WEST、満員!)を観て、僕はFUNKISTにハマり、彼らはそのあと南アフリカをツアーし(ボーカルの西郷どんの母親の母国が南アフリカ)、日本47都道府県をツアーして、今日がそのツアーファイナルで、インディーのバンドとしては異例(だと思う)のO-EASTワンマン。
東京ではイベントも含めて(昨年秋のCLAP HANDSでは僕も「共演」したのだ)たくさんライヴをやってるけど、ワンマンは1年前のそのO-WEST以来。お客さんたくさん来てました。
メンバーの気合いの入り具合はスタートから見えてました。スタートダッシュ。というか彼ら、いつもながら「抜いた」ところが一瞬もない。ペース配分なし。いつもは3バンドも4バンドも出るライヴだから時間も短くて、まあ短距離走者的なダッシュ。でも今日はワンマンで、その長尺をずっと短距離走的に突っ走る。3曲目ぐらいでステージからフロアに降りるし(いくらなんでも早すぎ)、ステージ上でメンバー全員15メートル走はする、(エア)花火も飛び出す(これはいつものこと)。
僕は先週末の辺野古フェスの気持ちがまだ抜けてなくて、今日も辺野古フェスのTシャツを着て(リストバンドはまだ外してない)行ったのだけど、FUNKISTも「沖縄」という歌を歌った。僕も先週土曜、この曲を辺野古でかけた。つながってる気持ち。
中盤、乙武洋匡さんが登場して(乙武さんの電動椅子も短距離走的なスピードで袖からステージ中央まで走ってきた)、乙武さんが詩を朗読し、FUNKISTが歌というコラボレーションがあった。これは確か、沖縄で作られた歌だと思う。ちなみにいま乙武さんのblogをチェックしたら、FUNKISTのことが何日にも渡って書かれていた。
つながりといえば、西郷くんがポーランドのアウシュビッツのことを以前書いていた。アウシュビッツには日本人のガイドがひとります。中谷剛さん。2005年に僕が行ったときも、西郷くんがアウシュビッツに行ったときも(何年かは知らない)、中谷さんのガイドを受けた。先週金曜日、僕は15年ぶりに沖縄のひめゆり平和祈念館に行ったのだけど、最後の展示室に中谷さんからの手紙があって、ハッとしたんだ。そういえば辺野古のフェンスも僕はアウシュビッツのフェンスを連想した。
FUNKISTは恋愛よりも(←ちゃんとあるけど)、人とか命とか戦争を歌にする。GET UP、STAND UPと促し、それがLOVE SONGだと歌う。熱い。すごい熱い。でも、熱すぎると煙たがる人(まあ、僕がいま書いてるこの文も相当に熱い)には「(What's So Funny 'Bout) Peace, Love, and Understanding」というコステロの歌をお見舞いしよう。西郷くんのひとつの母国を歌った「バナナトレイン」はとびきり熱かった。リアルなことは熱いんだ。FUNKIST南アフリカ・ツアーのドキュメント映像も僕は去年の秋、観に行ったんだ。
去年のワンマンのときみたいに、今夜も即興での歌作りがあった。会場から言葉を3つもらう。その言葉を折り込んだ歌詞を歌う。去年は「人生」「ONE LOVE」「絆」というもの。今年は、「掃除」「卒業」「カンガルー」。この無理難題な3題ネタを見事に歌に昇華したのはすごい。カンガルーだよ。
終盤(アンコールでだったかな?)、OVER SKA DRIVESとのコラボレーションがあった。大阪のバンドの彼らは今夜、向いの会場0-WESTでライヴがあり、出番が終わってそのままO-EASTに。秋のCLAP HANDSで一緒だったのですごく親近感がある。あのイベント、やっぱり出演者も一緒になってステージの設営、撤去をするというのがポイントだ。同じ雨に撃たれた仲間。ライヴは「月下のラスタカラー」で終わった、んじゃなくて最後「光」だ。三線の曲。
いいライヴだった。会場には辺野古で会った人たちもいた。楽屋に行って西郷どんと握手して(気を使わせてしまった)、それからはーぴーと奥出くんとGAKUくんとひもの屋で24時までお話。