ニカラグア

昨年10月、僕は宮沢和史中南米ツアーにひとり途中から参加しました。
日本からロサンゼルス経由でメキシコに行った僕は、中米ニカラグアからグアテマラ経由でメキシコに飛んだ彼らと、偶然にもほぼ同時刻にメキシコシティの空港に到着し、合流した。すでにブラジル、ホンジュラスニカラグアと半月以上旅をしてきたメンバー、スタッフは、まばゆさを感じるぐらいタフな風貌だった。
その夜、ホテルで食事をしながら宮沢和史高野寛からホンジュラスニカラグアの話を聞いた。銃声が響く街。路上生活を余儀なくされている子どもたち。そして、貧困を生み出すシステムについて。
〈北の大国に搾取されながらも、依存していかなければならない体制が貧困を生み出している。ニカラグアでは瓦礫や道ばたで暮らす子供達と出会った。彼らに少しでも教育をしたいとボランティアで活動されている日本人の方々が僕を招待してくれ、みんなで「島唄」を歌って聞かせてくれた。天使の歌のようだった。しかし、僕には彼らにかける言葉が何ひとつ浮かんでこなかった。「夢を持て」とも「未来は自分の手で切り開け」とも言えなかった。「音楽を愛して欲しい。どんなときでも歌を歌うことを忘れないで欲しい」と言うのが精一杯だった。ダイヤモンドよりも美しい子供達の瞳を見ていると、この「貧困」に腹が立って仕方なかった。「貧困」とは「富」の対義語であって「貧困」というその言葉自体、単独では成り立たない言葉なのではないか? つまり富める者はそれを維持し、さらに富みたいがために、誰かに貧しさを強いるのだ。このシステムがグローバリゼイションの真意なのだと確信してきた。戦争はそれに利用され、テロがそれに反発する。最悪のシナリオだ。〉
(『小説新潮』2005年11月号の宮沢和史「言の葉摘み」より)
ニカラグアでの宮沢と子どもたちとの出会いの写真は、中南米ツアーblogの中で見ることができます。
http://www.five-d.co.jp/miyazawa/jp/blog/la2005/archives/2005_1017_0143.php
上のURLの写真、3番目に写っている日本人が、宮沢に手紙を書き、子どもたちとの出会いを実現させてくれた増山理人さん。ニカラグアの首都マナグアで、「ストリートチルドレン」と呼ばれる、路上で暮らす子どもたちに2年間に渡り音楽や工作、絵を教えていました。「教えていました」と過去形なのは、先月帰国したので。先日のGANGA ZUMBA渋谷公演の会場で僕は初めてお会いしました!
GANGA ZUMBAの新曲「Still Blue」には、ニカラグアでのこの体験も描かれていると思います。昨年のヨーロッパ+中南米ツアーの模様はGyaO TVで一カ国ずつ隔週更新で、現在は五カ国目のロンドン編。ニカラグア編もそのうち流れます。
http://www.gyao.jp/music/miyazawa/
5月27日から7月2日まで、鎌倉由比ヶ浜のラジュルネで、増山理人さんの写真展「CORAZON」が開かれます。副題には「中米ニカラグア スラムの子どもたちと過ごした2年間の記憶」と付けられています。
観に行きます。