THANK YOU FOR LISTENING

tuktukcafe062006-01-05

FAR EAST SATELLITEが2006年1月5日、スターコーンFMでの放送をもってすべて終了しました。リスナーのみなさん、FM COCOLOをはじめネット局のみなさん、これまでどうもありがとうございました。出演者、スタッフを代表してお礼申し上げます。

■ FAR EAST SATELLITEは2002年10月からスタートし、全170回のオンエアでした。その前身番組である極東ラジオは1997年4月から2003年12月まで352回のオンエア。極東ラジオは宮沢和史THE BOOM)とポール・フィッシャーによる2時間が基本でしたから、ふたつの番組を合計すると約9年間で780時間の番組をオンエアしてきたことになります。

■ 780時間分の全オンエア曲リスト(1時間に7曲と計算すると5460曲!)や、スタジオレポートの一部はこの番組サイトにあります。放送日順ならこちらのページからどうぞ。

■ 検索もこちらのページからできます。結婚式の選曲に苦心しているのなら「結婚」というキーワードで極東ラジオ第168回が、歯医者で最適のBGMを曲を探しているのなら「歯医者」というキーワードでFAR EAST SATELLITE第35回の選曲リストがヒットします。「坂道」で口ずさむ歌なら第270回で、「アイドル」ならなんてったって第101回です。

■ 同じテーマの選曲でも、番組出演者それぞれの選曲の違いも楽しむことができます。例えば月や星についての歌。宮沢和史なら極東ラジオ第107回高野寛なら第258回KiiiiiiiならFAR EAST SATELLITE第92回です。

■ 番組サイト内の検索は、ゲスト名でも曲名でもミュージシャン名でもできます。小松亮太さん宮沢和史のように番組出演がきっかけでその後コラボレーションに結実した例もたくさんあります。ポール・フィッシャーのゲストにはフェミ・クティや、どんとさんリアム・オ・メンリィなど蒼々たるミュージシャンが名を連ねています。The ピーズのはるさんも、LOST IN TIMEの海北大輔さんもスタッフからの熱望に応えて兵庫慎司さんのゲストに登場しました。

■ スタッフ熱望といえばShing02知花竜海さんの出演もそうでした。アルゼンチンからの唄者を迎えての極東ラジオ第273回や、イラク戦争の時期にオンエアしたFAR EAST SATELLITE第29回毎年3月の恒例となった60分全曲フィッシュマンズという、番組スタッフによる企画も強く印象に残っています。

■ ということで、FAR EAST SATELLITEも極東ラジオもこれで終了ですが、放送エリア外の人にも、放送終了後にこの番組を知った人にも、これらのアーカイブスがあなたの音楽生活にお役に立てばうれしいです。

■ ところで、番組を収録する際、僕らは「エマージェンシー」と呼ぶ数分間のトラックを番組最後に追加で録音していました。これは万が一、60分よりも早く番組のオンエアが終わってしまった場合(どういう理由でそうなるのか僕にはわかりません。少しずつ早回しでオンエアされるとか?)、次の番組がスタートするまでの間、空白にならないように非常用の音楽を入れるというラジオにおける約束事で、幸運なことに9年の間一度もそのような事態にはなりませんでした。つまり「エマージェンシー」とは放送では一度も流れないトラックのことで、以下のノートもそんな、番組には関係ないおまけです。ラジオや音楽への想いなんて9年間、780時間にも渡ってずっと伝えてきたのですから。

■ 毎週毎週、選曲や、選曲のテーマを考えるのが大好きでした。宮沢和史高野寛極東ラジオ第48回で、山口洋自身の日記で語っているように、僕らはラジオで数々の素晴らしい音楽と出会いました。ヒートウェイヴ「HEY MY FRIEND/DON'T DIE YOUNG」という歌に、“俺は16で足を踏みはずした/なんとラッキーな人生だろう”というフレーズがあります。もしも16歳のときにラジオから流れてくる音楽がなかったら、あるいはあの頃、音楽がラジオから流れてくることを知らなかったら、僕らは今ここにはいなかったでしょう。

■ 9年前に番組をスタートする際、宮沢和史とポール・フィッシャー、それに僕らスタッフで決めたことはひとつだけでした。「ジャンルも、国も、時代も関係なく、僕らがいいと思った曲を紹介する」。それだけです。ちまたで流行の曲をカウントダウン形式で紹介する番組、アメリカとイギリスのポップスを紹介する番組、そういった音楽番組の存在を否定しません。でもそういう番組が主流だからこそ、アフリカやブラジルや沖縄の音楽も、古くても、どんなジャンルだって、僕らが紹介したいと思った曲をこの番組ではオンエアしてきました。なんかの「しがらみ」でオンエアした曲は1曲たりともありません。そもそも僕らの番組にはスポンサーがいなかったのですから。ポルトガル語の通訳や、英語の通訳も活躍しました。ジョアン・ジルベルトの来日時は興奮して3週に渡って特集しました。佐野元春さんとラジオについて話しグレイトフル・デッドから21世紀を生きのびる方法を学びました。どう考えてもトレンディな音楽番組ではありません。

■ 世の中には素晴らしい音楽がたくさんあって、音楽だけがその役割を担っているわけではありませんが、音楽は世界を広げ、新たな出会いを導いてくれます。もしも2004年春にタイの音楽を特集してなかったら、2005年冬にKiiiiiiiがバンコクのロックフェスに出演することなんてなかったでしょう。というような例をいくつでも挙げることができますがそれは割愛。つまり音楽を聴いてきて、なんとラッキーな人生だろう、ということです。だから、最後にもういちど音楽に感謝をします。特大の、いつまでも続く感謝を。

■ 番組は終わったのにまだ音楽の話をゴソゴソ続けようという残党がいます。そのゴソゴソ話がこのページ。