サリンジャー

tuktukcafe062010-01-29

サリンジャー死去のニュース。
僕の本棚にあったサリンジャーの本を取り出して撮影した。村上春樹訳の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」が見つからなかった。でもどこかにあるはず。あと、日本の文庫版の「ナイン・ストーリーズ」や「フラニーとゾーイ」も本棚に隠れているはずです。
以下は、以前書いた日記。
2003年4月9日(水)
 村上春樹が新たに訳した「The Catcher in the Rye」がもうすぐ出ます。今日、紀伊国屋に行ったら明日発売だそうです。これはすごくうれしい。
 僕がはじめてこの小説を読んだのは14か15歳のころで、白水社のハードカヴァーだったと思う。「ライ麦畑でつかまえて」。訳はもちろん野崎孝氏。もう100回は読んでるし、その訳に不満があるなんてことはない。もちろん。
 たぶん今の気持ちは、好きな映画が好きな監督にリメイクされるというニュースを聞き、ワクワクしながら公開を待っているという感じに似てるんだと思う。
 四谷にある英語学校に通っていたころ、リーディングのテキストが「The Catcherin the Rye」だったということもあって、はじめて英語で読んでみた。20歳過ぎのこと。「ホールデン・コールフィールドが自分のヒーロー」という担当の教師のおかげで、やたら熱の入った授業を受けることができた。文末の「〜and all」だとか「what's the hell〜」だとか、あの独特の文体は今でも覚えてる。
 外国を旅行していて、手持ちの日本語の本がなくなるとすごく困る。僕は旅先でそうとうたくさんの本を読むタイプだからだ。本がなくなると旅をやめたくなってしまう。でももちろんそんなわけにはいかない。英語のペーパーバックが置いてあるような書店があれば「The Catcher in the Rye」を探すことにしている。「The Catcherin the Rye」ならたぶんどんな店にも置いてあるし、筋を完璧に覚えてるから、忘れてる単語があっても(たくさんある)気にせず読み進めることができるからです。
 というわけで、今、僕の家には「The Catcher in the Rye」のペーパーバックが何冊もあります。
ネパールのカトマンドゥで買ったペンギンブックス「The Catcher in the Rye」のグレイの表紙をめくると、そこには「STUDENT BOOK SHOP」という店名のスタンプが押してあって、「55」という手書きの数字で値段が表示してあります(55ルピー)。裏表紙には、「火」「山」「森」といった漢字が青色のペンで書かれている。「ケネス・ウイリアムス」というカタカナのサインもある。僕が書いた。覚えている。ケネスは、インドのカルカッタで会ったオーストラリア人で、僕は彼に「漢字というのは表意文字であり〜」なんてことを教えるために、持っていたこの本に落書きしたんだ。家のどこかを探せば、ケネスと撮った写真もあるはず(←ケネスが撮ってくれた写真ならあった)。その夜、カルカッタのあわれなリキシャー運転手を襲った僕らは、料金を払い(!)、運転手を座席に乗せリキシャーをひいて街を走りまわった、といったような思い出が(あんまりぱっとした思い出じゃないけど)、持っている「The Catcher in the Rye」の数だけあります。
 明日はそれが増えるかと思うと、やっぱりうれしい。