高野寛「Black & White」

Black&White

Black&White

新曲がとても良いのでお勧めしたいです。こちらで高野さんの創作ノートが読めます。
2004年にアルバム『確かな光』がリリースされたとき、僕は高野さんにインタビューした。
その原稿の頭には、〈このアルバムはそのタイトル通り、時代を照らす光となる、本来の意味でのポップスです。スピリチュアルな言葉を響かせる「確かな光」「hibiki」から、高野寛のルーツを表すテクノポップ的解釈の「Sunshine Superman」(ドノヴァンのカヴァー)まで、11のポップ・マジックが力強い円を描き、まばゆい光を放ちます。終わらないメロディー、人々の心に響く歌、これが時代を照らす歌です〉と書いた。
偶然にも、というか、僕がいまこういったベクトルの表現にしか惹かれないのか、2009年6月17日にリリースされる新曲「Black & White」も、〈闇を切り裂いて 差す光の中 走り出して行く〉というフレーズから始まっている。ここにも、闇と光が在る。
「虹の都へ」や「ベステンダンク」に匹敵する、高野寛ならではの黄金律で作られたポップな曲だけど、そこには光だけでなく闇もある。だからこそ、僕は強く反応してしまう。
2004年のアルバム『確かな光』のインタビューからさらに引用。
高野寛  (前略)誰でもそうだと思うけど、やっぱり歌が染みてくるときっていうのは、もう無条件ですよね。イントロが流れてきた瞬間に「うわー」ってなることとか、歌が始まって引き込まれて、その時々の思い出とか景色みたいなものが焼き付いて。それだけだと思うんですけど。だから「確かな光」という曲ができたときは、本当に自分でもうれしかったですね。
―――歌詞の中に〈闇の中でさまよって 抜け出せなくて〉というフレーズがありますよね。そんな闇の中で見つけたのが「確かな光」だと。
高野寛  うんうんうん。ここ何年かの間で、レコーディングでもライブでも、その場にいる全員がすごく興奮するような瞬間に、数知れず立ち合ってきたので、それが自分にとっての「確かなもの」なのかな。音楽の魔法、マジック。たとえばSUPER BUTTER DOGの「サヨナラCOLOR」(※高野寛がレコーディング・プロデュースをした)。あれはそういうマジックがあるレコーディングだった。
―――「hibiki」の中にも「確かな光」と呼応するような歌詞が、〈響きあう歌が届いたら この闇を照らす光になるから〉というフレーズがあります。
高野寛  やっぱり9.11のショックみたいなのがすごくあったのかもしれないですね。不安感とか、救いを求めるような気持ちみたいなものが、自分の中ですごく強くなっていた。「確かな光」の歌詞は本当に素直な心境だったりもするんですよ。(中略)
「hibiki」の中の、〈口ずさめばそれだけで 救われるから だから今日も歌うのさ 忘れないように〉こういうところは実は、今になって初めて気付いたことなのかもしれなくて。これは、歌ができたときからステージでやることが見えていたというか、「確かな光」とこの「hibiki」はアルバムの核になる歌ですね。
2009年の「Black & White」も4分間のポップ・マジックを持った曲です。ビデオクリップはこちら。
http://www.youtube.com/watch?v=XPQyzfL74n4