『六ヶ所村ラプソディー』

自転車を飛ばしてポレポレ東中野ドキュメンタリー映画六ヶ所村ラプソディー』を観に行きました。
六ヶ所村ラプソディー
http://www.rokkasho-rhapsody.com/
http://ameblo.jp/rokkasho/
先日も書いたように僕はドキュメンタリー映画が苦手なのですが(それにこの映画は午前中1回だけの上映)、 観に行ったのは鎌仲ひとみ監督とCLUBKINGの桑原茂一さんのトークショーが上映前にあったということが後押ししてくれました。時間に間に合うように自転車のペダルも押した。ギリギリセーフ! 
桑原茂一さんといえば僕の世代ではスネークマンショー。今年夏、桑原さんがプロデュースしたRISING SUN ROCK FESTIVALのBLACK HOLEの前で初めてお話しました(Shing02のことや、革命舞踏会のことなど)。
トークショーはCLUBKINGのフリーペーパー「dictionary」の話から。「新しいことを知るのは怖い。でも怖いけど知ると勇気が湧いてくる」という桑原さんの言葉に僕が勇気もらったかも。僕が社会派ドキュメンタリー映画が苦手なのも、この「知るのが怖い」というところで止まってるからだ(めんどくさいというのも大きい)。いや、そんな「言葉」には勇気をもらわない。勇気を湧かせるのはそのドキュメンタリーが優れた作品だった場合だ。だから僕は今日『六ヶ所村ラプソディー』に、それから会場でもらった『dictionary』に勇気をもらった。
例によってまた映画の前情報を知らずに行ったので、トークショーでの鎌仲監督の「自分は放射能の問題に素人だから(六ヶ所村の再処理工場について賛成派、反対派の)どちらが正しいかわからない。だから鏡のような映像を作ろう。鏡のようにどちらのありようも映そう」という発言もそのあとの映画に興味を抱かせるひとつのきっかけになった。「鏡を立てようとしたその私がパタッと倒れてます」なんて笑わせてたけど。
「鏡のようにどちらのありようも映そう」と思っても、再処理工場に反対する人たち(六ヶ所村でも超少数)に比べて、賛成者がなかなか喋ってくれないことがドキュメンタリー映画として難しかったそうです。
映画の中で、チューリップやハーブを栽培しながら工場に反対している女性が、「反対というだけで“過激派”とか“アカ”と言われる」と話していた。映画の中には泊という漁港の海域を調査する20年前の映像があった。反対する漁民たちに機動隊が港を封鎖する。自分の漁船に乗ることもできないで苛立つ船長に対して、「おまえさん、過激だべ」という声がかけられる。船長は「なにが過激だ、おまえらのほうが過激だべ」と返すのだけど、このシーンなんて笑っちゃいけないんだろうけど笑える。
危険性を説明する京都大学の教授のパソコンの横にピカソの「ゲルニカ」のコピーが貼られていたのが印象的だった。
会場で配られていたフリーペーパー「dictionary」112号の表紙は、RISING SUNでのshing02の写真! 彼のインタビューも載ってます。巻頭には坂本龍一×大林ミカ×田中優の鼎談。
「僕はね、基本的にエゴイストなんですよ、で、僕はみんなにもエゴイストになって欲しいんですよ。ていうのはね、環境のこととか言ってますけど、要するに自分が美味しいものを食べて、美味しい空気吸って、美味しい水、安全な水を飲んでね、自分の愛する家族にもそうあって欲しいんですよ。自分の命が危険に晒されたり、自分の体が汚染されたり、自分の愛する家族が危険なものを食べなきゃいけないっていうような環境っていうのはやっぱり嫌だよね。嫌だったら嫌っていう意思をどんどん表明してほしいんですよね、それもまぁ投票行為であり、水ひとつ買うときでもね、良く考えて」(坂本龍一