STOP ROKKASHOナイトに行ってきた


上の映像は、2011年に発表されたもの。2006年のこの日にはカクマクシャカひとりでラップしていたこの曲が、これだけ繋がり、またこの日、壇上で握手していた坂本龍一さんもビデオクリップ最後に登場している。
明治学院大学横浜キャンパス(戸塚)での「STOP ROKKASHOナイト」に行ってきました。 坂本龍一さんが立ち上げたサイト「STOP ROKKASHO」を記念しての「坂本龍一さんを囲む会」です。僕がこのイベントに参加したのは、先日、マエキタさんにこのイベントの準備のための会合にお誘いいただいたのがきっかけ。人生は出会いときっかけいうことを最近本当に強く思います。この会合に一緒に連れていったカクマクシャカはこのイベントにも誘われて、沖縄から上京!(前日には同じ明治学院加藤登紀子さんのステージでセッションしたそうです)
250人ぐらいが詰めかけた教室(予約制で満席)。ステージには、この大学で文化人類学を教える辻信一さんと坂本龍一を真ん中に、ピースボートの小野寺愛さん、サステナのマエキタミヤコさん、サヨコオトナラのOtoさん。途中から未来バンクの田中優さんも加わりました。
青森の六ヶ所再処理工場では普通の原発から出る一年分の放射能を一日で放出する、ということを知って、「関わりたくはなかったけど、そういうことを聞いてしまったからにはしょうがないですよ(笑)」と、坂本龍一さんはこのサイトを作った経緯を話しました。
「僕みたいな新参者が今になって言い出すと遅すぎだと言われるけど、これはもう六ヶ所だけの問題じゃないんです。この問題に対して、声がなさすぎ。それが怖い。日本がこんなに静かなら世界に知らしめたいということで英語でサイトを作った」「でも、どんな正しいことを言っても伝わらないとダメ。正しいことを言ってるだけではダメ。デザインが大事です。だから友人のデザイナー、ジョナサン・バーンズブルックに頼んだ」と言葉を続けます。
「デザインが大事」
この言葉、この日、坂本さんは別なサイトについての説明でもそう話していました。「STOP ROKKASHO」サイトのコンテンツが「ART」と「INFORMATION」の二本立てになってるのも、「遠いところにある問題を、アートや音楽は近づけてくれるから。イメージさせるのがアートの本質」だからだそうです。
今日は、六ヶ所再処理工場の問題点(田中優さんが具体的にその怖さを説明してくれました)だけでなく、「表現」についての話もたくさん出て、それがすごく刺激になりました。日本中の99パーセントぐらいの人たちが六ヶ所の問題を知らないのではないかと、ステージ上の人たちも予想していたけど(坂本さんは、「その数字は変わったはず」と言葉を足した)、では、そういった人たちに何が問題で、どうやって伝えればいいのか。そこを出席者みんなが考えている。
例えば、発言を求められた藤村靖之さん(非電化工房主宰)という方(61歳だそうです)は、安保闘争の時代から「旗や棒を振って」いたそうですが、「私が旗を振るとみんな逃げちゃう。でも坂本さんが旗を振るとこれだけ人が集まってくる。どこが違うのかなあ」と会場を笑わせます。坂本さんは「僕も60年代は棒を振ってました。でも、そこで棒を振るだけじゃだめだということを学びました(笑)」と返す。「人はやはり楽しいことが好きだから押しつけては孤立します」と、ずっと伝えることを考えてきた藤村さんの言葉は穏やかだ。
人は怖いことも嫌いだ。だから「逃げろ、どこへ」というマエキタさんの新プロジェクトもすごく面白そう。坂本さんはゲームクリエイターとのコラボレーションや、Tシャツデザインも考えている。辻さんの生徒たちは署名サイトを準備中。
写真提供:ストップロッカショ・ジャパン
辻さん、坂本さんから紹介され、客席からステージに上がったカクマクシャカは、ひとりで「無知の知/僕と核」をラップした。ビートなしの朗読で始まり、後半は会場から生まれた手拍子に乗せて。
坂本さんは目をつぶって聴いていた。僕は祈るように聴いていた。
ラップが終わり、大きな拍手が起こり、収まり、坂本さんとカクマクが強く握手した。そのあとのカクマクの喋りにも僕は心を撃たれた。
坂本さんのサイトで聴いた坂本さんとShing02さんの曲がきっかけで「無知の知/僕と核」を作ったこと。Shing02さんともまだ会ったことはないということ。この曲を作ったときは(カクマクは坂本さんのサイトがオープンして3日間で、Shing02とメールでやりとりしながら「無知の知/僕と核」を作った)、こんな場で歌えるなんて想像もしていなかった(カクマクは沖縄在住)こと。音楽との出会いがきっかけでこんなことが実現するのなら、止まらないと思っている六ヶ所も止まるんじゃないかと。
僕も出会いから、いろんなことを学んでいる途中。まずは無知の知から始める。坂本さんは、自分が飲む水、食べ物のことから考えていく「エゴからエコ」だったと言った。僕もそうかもしれない。僕がこのイベントに参加するきっかけは関野吉晴さんへのインタビューだったし、その関野さんが言ってた「怒りだけではなく、怒りを希望に代える方法を考えていく」ということをしていかなくては。今日、出会った人たちはみんながそれぞれの方法を考えていた。こういった場にいられたことがすごく嬉しい。
6月9日には、明治学院大学白金キャンパスで「脱原発カフェ」があります。こちらも入場無料です。

6月9日 脱原発カフェ
http://www.sloth.gr.jp/aboutus/event/event_now.html